苦くも柔い恋
「じゃあ和奏に聞くけど、今千晃と付き合ってるんだよね?」
「…っ、」
美琴の言葉に両親の視線が向く。
千晃と再会したことはまだ言っていなかった。
心配をかけると思って言っておらず、交際に関しても、もう少し落ち着いてからと思っていた。
「…うん」
しかしここここに来て嘘は通せない。
静かに頷けば、両親の顔は更に青くなった。
「和奏…どうして、」
「お母さん、和奏を責めないで?私が悪いの」
そう言う言葉とは裏腹に、美琴の顔は晴れやかだった。
「千晃が和奏しか好きじゃないって知ってて近付いたの。だから全部、私が悪いの」
「…それはもういい」
もはや言葉を発せなくなった母に代わり、父が美琴に問うた。
「何があったかきちんと説明しなさい」
父に言われ、美琴は肩をすくめてハイハイと言った。
「1ヶ月くらい前、会社の研修会の後に久しぶりに同期で飲みに行ったの。もちろんそこに千晃も居たよね?」
「……」
千晃は美琴を見据えたまま返事はしない。
けれどそんなこと関係ないといった風に美琴は続けた。