苦くも柔い恋
「和奏、昨日お母さんから聞いたよね?」
「……う、ん」
「そう。本当よ、私、今妊娠してるの」
瞬間空気が凍りつく。
そしてそれらの視線は千晃へと向けられた。
「千晃の子だよ」
美琴ははっきりとそう告げた。
すると母は泣き、父は頭を抱えた。
それを呆然と眺めながら、和奏は固まっていた。
ただ一人、千晃を除いては。
「…そんな訳ない」
「本当にそうだって言える?」
美琴の挑発的な視線に千晃は眉を寄せる。
「…どういうことだ」
「千晃さあ、1ヶ月前にあった飲み会覚えてる?」
千晃の顔色が変わる。
嘘でしょ、そう思って見つめるも目が合わない。
「あ、和奏には言ってないんだ」
「…言う必要が無かったから」
「ふうん…」
美琴の視線が流れ、にんまりと笑う。
途端に恐怖が駆け抜け咄嗟に目を逸らした。