苦くも柔い恋


その台詞には、何の感情も込められていなかった。


「鑑定なんかされたらバレちゃうし。なんでそれ出しちゃうかなぁ、もーやめやめ」

「なっ…」

「そうだよ。相手は千晃じゃない」


美琴は脚を組み、態度を豹変させた。


「ワンチャン記憶消えてないか期待したのになぁ。マジで萎えるんだけど」

「美琴お前…!」

「あ、妊娠してるのは本当だから手は出さないでね」


立ち上がった父を牽制し、美琴はこれまで見せた事のないような顔で言う。

父は眉を寄せ、美琴を睨んだ。


「…相手は分かってるのか」

「うん。まだ言ってないけどね」


あっけらかんと言い放つ美琴は、父からこちらへ視線を移した。


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