苦くも柔い恋

美琴の笑顔が初めて引き攣ったのを和奏は見逃さなかった。
千晃は再び両親に向き直り、淡々と続ける。


「言葉だけで信じてもらうのが無理なのは分かってます。俺がこんなこと言う資格がない事も。…けど、俺は、」


千晃はグッと息を飲み、強い口調で言った。


「絶対に、和奏を泣かせるような事だけはしていません」


そう言って深く頭を下げた。
一向に頭を上げようとしない千晃の様子に両親は顔を合わせ、ゆっくりと美琴へ視線を移した。


「美琴…」


涙を流す母の言葉が美琴に刺さる。
微動だにせず無言を貫く両者に、父はため息混じりに言った。


「…ならもう、DNA鑑定しかないな」

「お父さん、それは」

「相手の親に向かってここまで言い切るんだ。だったらもうこうする他証明のしようがないだろう」


いいな、美琴。
父がそう言ったその瞬間、美琴からスッと笑顔が消えた。


「…あーあ、やっぱりダメだったかぁ」


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