苦くも柔い恋
「どうしたの?」
「せっかくなら茶道部員のちゃんとした茶が飲みてえってコイツら聞かなくて。お願いしていい?」
「それはいいけど…」
「あっちの卓は俺が行くから。じゃ!」
よろしく!と快活に言って男子は去っていき、やるしかなくなってしまった。
僭越ながらと和奏はひと息吐き、テーブルの前に腰を下ろして抹茶セットへと手を伸ばした。
茶碗に湯を入れ、茶筅通しを行い一度湯を捨て布巾で拭きあげる。
その後抹茶を適量入れ湯を注ぎ、きめ細かい泡がたつまで茶筅を回し"の"の字をかきながら茶碗から離した。
それを差し出せば、ほうと男子生徒から声が上がる。
「なんつーか…綺麗な所作だな。やっぱり部員だから?」
「どうかな。でも、ありがとう」
言いながら次の茶を点てようと新しい茶碗へと手を伸ばすと、最初のものは千晃が手に取った。
どう?美味い?なんて冷やかされるように聞く周りの男子達に、千晃は素っ気なく言い放った。
「抹茶に美味いも不味いもあるかよ」