苦くも柔い恋
しかし夕食も終え夜も深くなりつつあった頃、自室で読書をしていると突然スマホが鳴ってメッセージが届いた。
珍しいなとなんの気無しに手に取ったスマホの画面に表示された名前を見て、和奏は反射的に家を飛び出した。
街灯の並ぶ道を走り抜け、目的の場所へと向かう。
先程メッセージを送ってきた人物は、まさかとは思ったがその場所に居た。
「千晃…?」
送り主は千晃だった。
彼からメッセージを寄越してきたのは初めてだった。
今すぐに来て欲しいと呼び出されたのは家からほど近い場所にある公園で、その中にあるロッジで千晃が1人佇んでいた。
普段運動なんて殆どしないくせに急いで走ってきたせいで息が上がっており、和奏は胸を押さえながらゆっくりと側に立った。