苦くも柔い恋
「…座れよ」
千晃が少しだけ座る位置をずらしてそう言った。
なんで、どうしてなど色々な事が頭をぐるぐるしつつも、いつまでも立っているのもどうかと思い和奏はひとまず言われた通りにする事にした。
「うん…」
おずおずと隣に空いたスペースに腰を下ろす。
だからといって何かを話しかけられるわけでもなく、ただただ無言が続く。
重い沈黙にさすがに耐えられなくなり、和奏は絞り出すように話しかけた。
「試合、お疲れ様。すごく格好良かったよ」
「アッサリ負けたけどな」
自虐的に、吐き捨てるように千晃は言った。
千晃達も奮闘はしたものの、結果は大きく差をつけられての敗退になってしまった。
キャプテンだった千晃はそれに責任を感じているのだろう。
これまで見たことないほどに沈んだ姿だった。
「…確かに結果はそうかもしれないけど、私は本当にすごいと思ったんだよ」
千晃は微動だにしない。
けれどそんな事にはもう和奏は慣れているので、気にせずに言葉を続けた。