苦くも柔い恋


その夜の事をぐるぐると悩み続けて1ヶ月が経とうと言う頃だった。

自宅で夕飯の片付けを手伝っていると、母が時計を見ながら困ったように言った。


「美琴ったらまだ帰ってこないのかしら」


時刻は20時。
選抜クラスに在籍する美琴は一般クラスの和奏より授業が多いが、それにしても遅い帰宅である。

最近美琴の帰りが徐々に遅くなっていることに母は不安を感じていた。

そんな母の呟きに和奏が電話してみようかと聞いた時、玄関のドアが開く音がした。


「ただいまぁ〜」


こちらの気も知らず呑気な声を出してリビングに入ってくる美琴に母は勢いよく詰め寄った。


「美琴!連絡も無しにこんな時間まで何してたの!」

「ごめんなさい。ちょっと彼氏と学校に残って勉強会してたの」

「彼氏!?そんなのいつの間にできてたの?」

「まあまあ。明日からはちゃんと連絡いれるからさ、ごめんね?」


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