苦くも柔い恋
ひらひらと手を振りながらリビングを出ていく美琴に、母は夕食をどうするのかと聞きながら追いかけていった。
一部始終を聞いていた和奏は少しだけ胸を撫で下ろしていた。
美琴に彼氏ができた、となればこれ以上千晃と何か噂が広まることは無いと、そう思っていた。
けれど、それはすぐに覆された。
「ねえ!やっぱり美琴と日比谷くん付き合ってるっぽいよ!」
帰り支度をしていた和奏の耳に、同級生の嬉々とした声が飛び込んできたのは美琴が遅くに帰ってきた翌日の事だった。
「昨日2人で遅くまで学校に残ってたって。2人で並んで帰る姿を後輩が見たらしいよ」
「あれ?でも美琴、前は付き合ってないって言ってなかった?」
「そうだけど…でも昨日は手まで繋いでたって!2人で遅くまで何してたんだろうね〜」
話題に花を咲かせて盛り上がるクラスメイトの声をききながら、和奏は手を震わせていた。