苦くも柔い恋
この男は一体どういうつもりなのか。
嫌いと言いつつも家に上げてしまう上に泊まらせてしまう方もどうかと思うが。
非情になりきれない自分が恨めしい。
そもそも、美琴が側に居ながらこっちにまで手を出そうなどと些か我儘が過ぎるのではないか。
高嶺の花と謳われる美琴が簡単に手に入る立場にあるのだからそれで満足していればいいじゃないか。
「君さ、もしかしてハーレム願望でもあるの?」
「…はあ?」
軽蔑にも似た眼差しを向ければ、千晃の眉がピクリと動いた。
「もしそうなら私はご遠慮願いたいんだけど」
「…何を考えてソレに行き着いたかは知らねえけど、そんなのこっちから願い下げだわ」
そう言って箸を置きながら頬杖をつき、苛ついたようにため息を吐いた。
「女なんて面倒くせえもん1人で十分だ」
「ほらそうやって言う。だから別れようって」
「.……」
今度は無視ですか。