苦くも柔い恋
刹那、来客を知らせるインターホンの音に飛び起きた。
「わっ!」
こんな夜遅くに誰か尋ねて来ただけでも怖いのに、インターホンの音はしつこく何度も鳴らされる。
恐怖を感じつつ恐る恐るドアホンを確認すると、見えた顔に目を丸くした。
千晃だった。
驚きで固まったがインターホンは鳴り止まない。
いい加減煩くなってきて応答ボタンを押せば、こちらが返事を返すより早く千晃が身を乗り出してきた。
『和奏!和奏か?家にいるのか?』
「え?」
その剣幕に思わず腰が引けた。
「う、うん…少し前に帰ってきた」
『…っ、はー…なんだ…』
顔を手で覆い項垂れる千晃の様子に混乱する。
とりあえず開けるよとロックを解除ししばし考え込んでいると、間も無くして今度は玄関のインターホンが鳴ったので廊下を歩いてドアを開けた。
するとその瞬間、雪崩のように千晃が中に入り込んできてそのまま抱き締められた。