苦くも柔い恋
「彼、あの通り見た目がいいじゃないですか。昔から勉強もスポーツもできるからすごいモテてて」
「まあ…整った顔はしてたな」
「彼とは幼馴染なんですけど、もう一人女の幼馴染が居て…」
そこまで言ったところでなんとなく香坂はその先を察したようだった。
「その幼馴染と彼氏の仲が良すぎるってわけだ」
「シンプルに言えばそういうことです。その幼馴染、本当に美人なんですよ」
「ふーん…」
香坂は生ビールを飲みながら和奏の言葉を待つ。
「私から彼に告白して高1の時に付き合い始めたんですけど、デートはおろか連絡すらほとんどとらなくて。それなのにその幼馴染とは頻繁に連絡取り合ってたみたいで、それに…」
文化祭や引退試合のこと、受験勉強の時の事までは話したが合格発表の日の事を話そうとしたところで突然口が止まった。
何年も経つのに未だトラウマは抜けきれておらず、思い出しただけで涙が溢れそうになったからだ。
そこまで話した時には頼んだものは全て届いていたが、それには手をつけず香坂は黙って聞いてくれていた。