苦くも柔い恋
「ずっとそんな感じで距離を取られてたのに、最近になって急にしつこいくらい寄ってきて…別れようって言っても別れてくれなくて」
「……」
「彼が何を考えているのか、全然分からないんです」
ようやく相談内容を口にしたところで話が途切れ、こちらをジッと見つめる香坂の視線に途端に恥ずかしくなった。
「すみません、昔の事をいつまでも引き摺って自分でもみっともないとは思ってるんですけど、ちょっと混乱してて」
「んー、いやそうは思わないけど」
そう言い、ゆっくりとした動きで生ビールを口に含んだ。
そしてそれを置き、テーブルに肘をついて体を預けた。
「初めにひとつ言っておくけど」
香坂の話の切り出しに、和奏はそれまで目を伏せていた顔を上げた。
「俺別に経験豊富でもなんでもないし、それなりに橋本とは歳が離れてるけど、それでいいなら俺の思った事言っていい?」
もちろんですと和奏は頷いた。
そもそも誰かにこのモヤモヤを吐き出したかっただけだし、そこに意見をもらえるというならなんだってありがたい。