苦くも柔い恋




「和奏お前、いつもこんな遅い時間まで仕事なのかよ」

「君には関係ないでしょ」


素っ気なく返してみたが、本当のところ土曜日は比較的早くに帰れている方だ。

平日は通常授業があるから13時から22時まで出ているし、それに加えて今は朝が早かったりする日もある。

時々帰宅の重なった香坂含む同僚達が気を遣って送ってくれたりしているが、それだってもう少し貯金が貯まったら免許も持っている事だし自動車の購入も検討している。


けれどそんな事、千晃に言うことでもない。


「強情なやつ」

「それはありがとう」


ため息をつく千晃に嫌味のようにそう返し、キッチンに入ってコップを2つ取り出して麦茶を注いだ。

それを持ってテーブルの前に腰を下ろせば、千晃は袋から弁当を取り出して渡してきた。


「来週から迎え行くから」


唐突にそう言われ、弁当のカバーにつけられていたセロハンテープを外そうとしていた手を止めた。



< 93 / 267 >

この作品をシェア

pagetop