苦くも柔い恋
「君はさ、私にどうして欲しいの」
「どうって…」
「私と恋人みたいな事がしたいの?」
千晃の目を見て真っ直ぐに問いかける。
「前にも言ったけど…私が告白して付き合い始めたけど、恋人らしい事なんて何もしなかったじゃない」
「……」
「連絡すらまともに返ってこないし、デートもした事ない。…まあそれは、君が忙しかったのもあるけどさ」
固まる千晃を他所に、和奏は弁当の鮭をほぐして口に入れた。
「私から言わせてみれば、君が美琴としてたことのほうが十分恋人らしかったよ。一緒に勉強したり、2人で帰ったり」
「それは…」
「そもそも私、まだ君からあの日の事聞けてないんだけど」
「あの日?」
「合格発表の日のことだよ」