エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
 と、部屋に征士さんが入ってくる足音がした。

「見つけられたか?」

「あの、ここにAnge Premierのリングケースがあるんですが」

 戸惑いを伝えると、彼は困ったように微笑んだ。

「その箱の中身が、俺から君への贈り物だ」

「え?」

「ほら、開けてごらん」

 更に戸惑う私を、征士さんが優しく促す。私は信じられない気持ちのまま、リボンをゆっくりと解いた。
 だって、Ange Premierはブライダルリングのブランド。それなら、この箱の中に入っているのは……。
 そっと蓋を開ける。

「あっ」

 中に入っていたのは、今まで見たことがないデザインの綺麗な指輪だった。
 リングケースはAnge Premierの物だけど、これから発売する二種類のブライダルリングとも違う。
 プラチナの優しい煌めきと、中央で眩い輝きを放つ一粒のダイヤモンド。ゆったりと流れるようなサイドのデザインには、沢山の小さなダイヤモンドが埋め込まれている。
 そして、中央のダイヤモンドの傍で光る二つの石は――、

「私たちの指輪の石……」

 ピンクサファイアとブルーサファイア。仲良く寄り添うように配置された石は、まるで一緒に居られるのを喜んでいるかのようにキラキラと瞬いている。
 征士さんはリングケースを手に取ると、私の目の前に跪いた。
 真剣な瞳を私に向けて、輝く指輪が入ったリングケースをこちらに差し出す。

「乃愛。俺と結婚してほしい」

「!」

 私は驚きの余り声を出せなくなった。
 そんな私を見て、征士さんはフッと微笑んだ。

「驚かせてしまってすまない。俺たちが付き合ってからまだ日も浅いし、君は結婚については考えていないだろう。だが俺は、乃愛と共に生きていきたい。優しくてひたむきで、純粋な心を持った君と」

「征士さん……」

 私の瞳から、涙がぽろりと落ちる。
 勿論それは、感激の涙だ。
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