エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
 夕食を終えて、食器を下げてもらった後、征士さんが真っ直ぐな眼差しを私に向けた。

「今夜は君に贈りたい物があるんだ」

「えっ? 素敵なお部屋で食事をご馳走になっただけで、私には充分ですよ」

「良ければ受け取ってほしい」

 征士さんの瞳の強さに魅入られて、私は小さく「は、はい。ありがとうございます」と頷いた。

「贈り物はベッドルームに置いてあるんだ。行って、見つけておいで」

 そんなことを言われて、私はちょっと不思議な気持ちで隣のベッドルームへと向かった。

「わあ、こっちも広いなぁ」

 シックな内装の室内を見回す。キングサイズっていうのかな、ふたりでもゆったりと寝っ転がれそうな大きなベッドを見つけた。
 あれ、ベッドがひとつだけしかないってことは、今晩は征士さんと一緒に眠るの……? 動揺しそうになる胸を押さえて一呼吸してから、私は彼からの贈り物を探した。

「ん、何だか良い香り……」

 芳香に惹かれて窓の方を見遣ると、テーブルの上に真紅の薔薇の花束が置かれていた。

「綺麗」

 優雅な佇まいの薔薇の花に目を奪われる。どうやら、この花束が贈り物みたい。今まで誰かにお花を貰った経験がないから、嬉しいな。

「あれっ?」

 よく見ると、花束の傍らに小さな箱が置いてあった。
 白いリボンが巻かれた磨りガラスの小箱。蓋に刻印されている銀色の文字を見て、私は息を呑んだ。

「Ange Premier……!」

 間違いない。これはAnge Premierのリングケースだ。製品はこれから発売されるのに、どうしてここにあるんだろう?
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