エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
「はいっ!」

 やる気満々に返事をしてから、こそっとお願いする私。

「あの、やっぱり、あのブレスレットの代金はお支払いします。それか、ブレスレットは課長に引き取ってもらって、誰か大切な方にでも贈ってください」

 すると、御堂課長は呆れたように言った。

「往生際が悪いな。今回の店舗視察を指示したのは俺だから、藤島さんが支払うのはおかしいだろう。それに、あのブレスレットは君が気に入ったものだ。他の誰かが身に着けるというのもどうかと思う」

 そこで言葉を切ってから、御堂課長はこう続けた。

「そもそも、俺にアクセサリーを贈るような相手はいない」

「えっ、そうなんですか? 意外ですね」

 こんなに素敵な男の人なのに。
 それは、容姿が優れているという意味だけではない。
 一見、クールで厳しそうな雰囲気だけど、本当は優しくて頼りになる人だ。現に私も、彼にはいっぱい助けてもらっている。
 完璧な御堂課長だから、きっと、自分に自信のある素敵な女性は彼を放っておかないだろう。さすがに私は、御堂課長を恋愛対象として見るのは恐れ多いけれど。

「そうか? 仕事漬けの毎日だからな」

 苦笑する御堂課長。確かにいつも忙しそうだけど、本当に出会いがないのかは疑問だ。とはいえ、部下の立場でこれ以上突っ込んで聞くわけにもいかないよね。
 と、店員さんがショップの小さな紙袋を手に戻ってきて、私は御堂課長にブレスレットを買ってもらうことになったのだった。
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