エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
 会議が終わり、ランチの時間。
 私はカフェテリアへと向かう前に、屋外にある休憩スペースに来ていた。初夏の開放的な陽射しを浴びて、社員たちがベンチで思い思いに寛いでいる。

「……」

 ベンチに座って深呼吸しても、私の心は晴れなかった。
 嫉妬……なのかな? だとしたら、恥ずかしいよ。あんなに素敵な人相手に、こんな気持ちになるなんて。

「いけない、気持ちを切り替えなくちゃ」

 私は左手首のブレスレットを見つめた。征士さんから貰った物だ。
 普段はお守り代わりにバッグに入れて持ち歩いているけれど、少しでも自信を持ちたくて着けてみた。
 キラキラと輝くロードライトガーネットを眺めていると、辺りが騒がしくなった。

「見て見て。あの人、すっごい美人!」

 はしゃぐ声が聞こえる。釣られて出入口に目を向けると、

「あっ」

 爽やかな風に髪をなびかせて歩くのは、さっき別れたばかりの篠崎さんだった。
 彼女が顔を上げたと同時に、ばっちり目が合ってしまう。

「あら?」

 私の姿を認めた篠崎さんが、笑顔でこちらへとやって来た。
 ど、どうしよう。緊張しちゃうよ。

「あなた、藤島さんよね? さっきの会議で一緒だった」

「はい。お疲れさまです、篠崎さん」

 篠崎さんは私の隣に腰掛けた。美しく圧倒的な存在感に、私なんて霞んでしまいそう。
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