エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
「出入口に屋外休憩スペースって書いてあったから入ってみたけど、眺めが良くて清々しいわね」

「そうですね」

 都会のビル群を眺めながら、目を細める篠崎さん。私は今にも逃げ出したかったけれど、そういうわけにもいかない。
 彼女は嬉しそうに微笑んで言った。

「今日はサンプルチェックが出来て良かったわ。ついでに、征士の仕事振りもチェック出来たし。上手くやっているみたいね」

 征士さんの名前が出てきてドキッとする。
 ふたりの関係が気になるあまり、

御堂(みどう)課長とはお知り合いなのですか?」

 つい、そんな疑問が口から出てしまった。
 篠崎さんは質問の意図を探るように、じっと私の顔を見つめてから、再び満面の笑みを見せた。

「ええ。知り合いというよりは、旧知の仲ね。アメリカに住んでいた時は、頻繁に交流していたのよ。帰国してからはお互い忙しくて、会う機会が減って寂しかったわ」

 言葉と口調から、篠崎さんが征士さんに対して親愛の情を持っていることが窺えた。
 その気持ちは、友情なのかな? 正直、恋愛感情にも受け取れるんだけど……。
 そんな疑問を内に隠して、私は何とか微笑んだ。

「仲が良いのですね」

「ええ、とっても」

 どうしてだろう。篠崎さんの言葉のひとつひとつが、私の心をチクリと刺す。
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