エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
 翌週の月曜日。
 社内でPCに向かって仕事をしていた昼下がり。同じ課の事務員さんが私の名前を呼んだ。

藤島(ふじしま)さん、篠崎(あおい)様と名乗る方からお電話です」

 篠崎さん? 突然、何だろう。彼女の修正が反映された製品サンプルは、まだ仕上がっていないのに。
 それに、征士さんじゃなくて私に用があるというのも不思議だ。その征士さんは会議中で、フロアにはいない。

「分かりました。出ますね」

 取りあえず、電話に出ることにした。

「代わりました、藤島です」

『藤島さん? 篠崎です。仕事中にごめんなさいね。この間はありがとう』

 色気のある艶やかな声が、私の耳に届く。

「何かございましたか? 先日、修正頂いたサンプルは、来週完成予定なのですが……」

『ああ、仕事の用じゃないのよ。ちょっとあなたにお話したいことがあって』

「私に?」

『ええ。電話じゃ話しづらいから、直接会えたら良いのだけれど』

 私に直接伝えたい話。それも、仕事の用じゃないって……もしかして、征士さんとのことだろうか?
 だとしたら、良い話ではないのかもしれない。でも、

「分かりました。お会いしましょう」

 私は篠崎さんに会うと決めた。このまま、征士さんとギクシャクした関係でいたくないから。
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