エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
 その日の夕方。私は篠崎さんが指定した銀座のカフェへと向かった。
 彼女に「急だけど、今日は時間あるかしら? 早くお話したいの」と言われ、私としても気になるので了承した。

「あ、ここかな。何だか大人っぽい雰囲気……」

 貴族の居室のような優雅な内装のカフェに入り、ウェイトレスに篠崎さんの名前を伝えると個室に通された。

「篠崎様。お連れ様がお見えです」

 四人程が入れる広さの部屋で、篠崎さんが上品な仕草で紅茶を飲んでいる。

「お待たせしてすみません」

「いいのよ。悪いわね、来てもらっちゃって」

 席に着き、ハーブティーを注文する。ウェイトレスが部屋を出て行くと、篠崎さんがにこやかに尋ねた。

「プロジェクトの進み具合はどう?」

「順調です。フォトスポットは最終的に、元のデザインと篠崎さんのデザインを組み合わせる形になりました」

「あら、そうなの。良ければ、今度そのデザインを見せてね」

 私がちょっと表情を硬くしたのに気付いたのだろう。

「大丈夫よ。決定したデザインに口出しなんてしないわ」

 篠崎さんがそう言い添えた。
 仕事の話を続けていると、個室のドアがノックされた。ウェイトレスが注文したハーブティーをテーブルに置き、ポットから注いでくれる。
 ひとくち飲んで、密かに緊張した心を少し和らげた。
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