エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
「あの、私、これから征士さんに電話してみます。この間会った時に、ちょっとすれ違っちゃって」

「それがいいわ。征士はああ見えて鈍感な男だから、ビシッと言ってやって」

 私はもう一度篠崎さんにお礼を言うと、カフェを出てスマホを取り出した。仕事中かなと思いつつ電話を掛けると、三コールで出てくれる。

『乃愛、どうした?』

「あの、征士さん。私……あなたと話したくて」

『ああ、構わない。俺は今自宅なんだが、乃愛がいる場所まで向かおうか?』

「いえ。良ければ、私が征士さんのお宅まで行きます。今、銀座にいるんです」

 征士さんはここから程近い、湾岸エリアの勝どき駅にあるマンションでひとり暮らしをしている。まだ行ったことはないけれど、話を聞いてもらうのだから、こちらから出向こうと思った。

『そうか。じゃあ、住所を連絡しておく。銀座からは近いが、気を付けて』

「分かりました」

 電話を切ると、背筋を伸ばし、真っ直ぐに前を見て駅までの道を歩いた。
 私はもう、怯えてばかりの子どもじゃない。
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