エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
「ごめんなさい。私、篠崎さんが征士さんの婚約者だって聞いて、信じてしまって」

「気にしないで。私も誤解させるような言い方をしちゃったわよね。会議の後に会ったあなたは、元気がなさそうだった。征士から交際のことを聞いて、ピンときたのよ。だから、すぐに謝りたくて」

 申し訳なさそうな顔をする篠崎さんに、心が痛む。
 私がちゃんと征士さんを信じて話し合えば、すぐに解決する問題だったのに。
 すると、篠崎さんがイタズラっぽい笑みを見せた。

「これは征士には内緒よ。あのね、店を貸し切りにしたいって頼んできた時の征士、かなり必死だったの。彼とは長い付き合いだけど、あんなに一生懸命な声を初めて聞いたわ。いつもはクールな人だから」

「え……本当ですか?」

 征士さんは私の前では落ち着いていて、心の余裕があるように見える。必死な姿なんて、想像出来ないけれど。

「ええ。征士は本気であなたが好きなのよ。だから、自信を持ってね」

「……ありがとうございます」

 私は今まで何を考えていたんだろう。
 征士さんだけじゃない。篠崎さんだって、こんなに優しい人なのに。
< 75 / 108 >

この作品をシェア

pagetop