エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
「乃愛」

 征士さんが優しく私に触れる。温かな指先と唇で。

「んんっ」

 気持ち良さに声を漏らしてしまい、慌てて両手で自分の口を塞ぐ。すると、征士さんがクスッと笑みを零した。

「可愛いな」

 大好きな人に丁寧に扱われて、自分が彼の特別な存在になれたことに、改めて嬉しさを感じる。

「乃愛、力を抜いて」

「はい……」

 そうして、征士さんとひとつになれた時――、初めてのことで上手く呼吸が出来ず、強張る私の身体を撫でて、彼は吐息混じりに言った。

「乃愛と結ばれて嬉しい。愛してる」

「私も、です。征士さん……愛してます」

 初めて交わす「愛してる」の言葉。
 私は涙で視界を滲ませながら、愛し愛される人に出逢えた幸運に心から満たされたのだった。
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