100日後、キミのいない世界で生きていく
眞紘が持ってきた花を供えながら、小さく呟いた。


「陽菜乃がバラバラになってしまった俺たちを、もう一度一つにしてくれた。まだこれから先みんなでやりたいことはたくさんあった」

「…花火を見たり、海に行ったり、かき氷も作りたかった」

「ああ。その先の季節も、みんなで過ごせるってそう思っていた。それなのに俺たちは今もまだバラバラのままだ」


目の前まで歩いてきた眞紘が、泣きそうな顔で私を見下ろしてきた。


「俺たちは今もまだあの頃に、14歳の頃に囚われ続けている。それは、おまえもだろ。…美波」


私は十年が経った今でも、陽菜乃がいなくなった今から目を逸らして生きている。


「そうだよ。だから、陽菜乃を取り戻す。陽菜乃が願っていた未来を作ってくる」


私たちはあの日、陽菜乃という太陽を失った。

当たり前に続くと思っていた日常が、突然失われて初めて当たり前ではなかったと知ったんだ…。
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