100日後、キミのいない世界で生きていく
若菜が「違うー！」と顔を赤く染めながら、眞紘をグーでポカポカと殴っていた。


「うん…っ。みんな、大好き！」

「…あ、切れた。あいつきっと今頃泣きながら走ってるんだろうな」


莉久がまた優しく笑いながら、通話の切れたスマホをポケットにしまった。


「じゃあ、ひと足先に向かってようか。売り切れてたら陽菜乃がさらに泣くだろうし」


みんなで歩き出しながら、屋台がずらりと並んでいるのが橋の上からでもよく見えた。

なんだか去年よりも少し出店の量が増えている気がする。


陽菜乃の言っていた今年限定のお店とはどこらへんにあるのだろう？


「きゃー！」


最初それは、お祭り独特の雰囲気に興奮した誰かの悲鳴なんだと思っていた。


「逃げろ！刃物持った男が橋の上で暴れてるぞ！」


突然、橋の方から走ってきた若い男の人が、私たちの横を走り去りながらそんなことを叫んでいた。

周りの人たちは一瞬でパニックになり、状況がよくわからないまま一斉に奥の方に走り出した。
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