100日後、キミのいない世界で生きていく
「…陽菜乃」


なんだか嫌な予感がした。

どうしてかわからないけど、“行かないと”と直感的にそう思った。


「美波!」


慌てたような眞紘の声が聞こえたけど、そんなのお構いなしに走り出す。

逆走をする私に容赦なく逃げている人たちがぶつかってきて、転びそうになりながらも必死に前に進む。


橋の上では、全身黒い格好をした目つきの鋭い三十代後半くらいの男が、四、五人くらいの男の人たちに取り押さえられていた。

その近くには、真っ赤な血がべったりとついている家庭用の包丁が転がっている。


「救急車はまだか!」

「…もう、遅いよ。この子、息してない…」


橋の真ん中で、陽菜乃は血だらけになって眠っていた。


「…陽菜乃。ひ、なの…っ!」


眠っている陽菜乃を揺り動かすけど、ぴくりとも動かない。目を覚ましてくれない。
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