100日後、キミのいない世界で生きていく

この世界で生きていく

「ママー！みんな来たよー！」

「はいはい。今行くよ」


洗濯物を畳んでいた手を止めて、玄関に向かう。


「よー日菜(ひな)。14歳の誕生日、おめでとう」

「きゃー莉久くん！久しぶりー結婚して！」


抱きついた日菜を撫でながら、莉久が「またか…」と苦笑いをしていた。


「まだ14歳は結婚できる年じゃねぇよ。つーか、できる年だとしてもおまえとは結婚しねぇよ…」

「莉久ってば、美波の娘たぶらかして嫌な男ー。本当、クズなんだから」

「たぶらかしてねぇよ！日菜が会った時からずっと付きまとってくるだけで…。それに俺は一途な男だ！」

「日菜、莉久はやめときな。こう見えても、今はすっかり好きな人を忘れられない一途を拗らせてるかわいそうな男だからさ。莉久のこと好きでも時間の無駄だよ」

「颯太…その言い方はなんかムカつくな！」


莉久が有名なバスケ選手になってから更に体格のよくなった颯太と笑いながらじゃれ合っている。

その様子に若菜が呆れたようにため息をつき、日菜をリビングに連れて行った。


莉久は教師になって相変わらず生徒や教師問わず女子に好かれているけど、それでも今だに独身を貫いている。

颯太は再び始めたバスケが軌道に乗って最近ではメディアに取り上げられるほど、忙しそうにしている。