不実な自由
三年生になる前の冬、我が家を、私の運命を変えるような嵐が吹き荒れた。
私が覚えていること、祖父の読経の声、母の悲痛な日々、私達の我慢。
父が失踪した。母、私達子供三人、祖父を残して。当時、まだまだ専業主婦だった母が父の失踪を知ったのは勤務先から電話をもらったのと、突然帰宅しなくなったためだ。でも私はこういう日がくることをうすうす勘づいてた。父が、私達兄弟を連れて見知らぬ女性とその子供をつれて、ある科学館に行った。でもそのことは父に口止めされていた。
その女性かどうかは知らないが、女と逃げているらしいと私はすぐ理解した。まだ八歳、黙っていることもままならず、学校の作文に書いてしまった。それから数日して放課後帰り遅れた私に担任の先生が「奈智亜、あれって本当?」「本当です」私はそういうのがやっとで、涙を流しながら学校を後にした。妹も幼稚園でやはりしゃべってしまったらしい。妹はバレエを辞めさせられたのがとても悔しかったらしい。私がうちに帰ると幼稚園の先生がうちで母親と話をしていた。やっと三歳になった弟はなにも覚えていないだろう。生命保険屋のおばちゃんに私は「アルバイトするよ」と言った。
私が覚えていること、祖父の読経の声、母の悲痛な日々、私達の我慢。
父が失踪した。母、私達子供三人、祖父を残して。当時、まだまだ専業主婦だった母が父の失踪を知ったのは勤務先から電話をもらったのと、突然帰宅しなくなったためだ。でも私はこういう日がくることをうすうす勘づいてた。父が、私達兄弟を連れて見知らぬ女性とその子供をつれて、ある科学館に行った。でもそのことは父に口止めされていた。
その女性かどうかは知らないが、女と逃げているらしいと私はすぐ理解した。まだ八歳、黙っていることもままならず、学校の作文に書いてしまった。それから数日して放課後帰り遅れた私に担任の先生が「奈智亜、あれって本当?」「本当です」私はそういうのがやっとで、涙を流しながら学校を後にした。妹も幼稚園でやはりしゃべってしまったらしい。妹はバレエを辞めさせられたのがとても悔しかったらしい。私がうちに帰ると幼稚園の先生がうちで母親と話をしていた。やっと三歳になった弟はなにも覚えていないだろう。生命保険屋のおばちゃんに私は「アルバイトするよ」と言った。