野いちご源氏物語 〇七 紅葉賀(もみじのが)
左大臣(さだいじん)(てい)を出発した源氏(げんじ)(きみ)は、新年のご挨拶回りをなさった。
といっても、源氏の君ほどのご身分の方は、それほど多くのところへ行かれるわけではないの。
(みかど)東宮(とうぐう)様と上皇(じょうこう)様、そしてそれから藤壺(ふじつぼ)女御(にょうご)様のところへ行かれる。
女御様の女房(にょうぼう)たちは、正装した源氏の君にうっとりしている。
「今日はまたいちだんとお美しくていらっしゃるわ。お年を重ねられて、ますます魅力的になっていかれる」
とささやきあっているのを女御様はお聞きになって、ついたての隙間からそっと源氏の君をご覧になったの。
またお心がかき乱されるようでいらっしゃったわ。
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