あれからの僕達が。
「やっ!
な………なに言って………そ、そんな顔してないってばっ!」


リョクの言葉で、ゾクッと背中を駆け上がった感覚を、もう一度目をギュッと強くつむって、なんとかやり過ごす。


ククッと喉の奥で笑いながら、ようやく身体を離してくれたリョクに手を引かれて、僕はなんとかきちんとベンチの上に座り直した。


だけども文句を言う為の声はまだ、うわずって乱れたままで。


まなじりに浮かんだ涙を手で拭いながらでは、睨んだって何の効果もないよね。


「………そーゆー顔されっと、もっかいキスしたくなるんだけど?」
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