向日葵の園
「あんまり使ってないから放置しちゃったってことですか?」

「俺が最後に訪れたのは…ちょうど今のヒマワリちゃんと同じ歳の頃だから五年も前か。帰宅する日ににうっかり施錠し忘れてさ。おっちょこちょいなんだよ、父さんは。その後にわざわざ施錠だけしに来る暇も労力もなくてさ」

「でも不用心過ぎません?現に何人もの不法侵入があったんですよね?五年も放置するくらいだったら…きっと使用人とかも憂さんのおうちには居そうだし。頼めばいいのに」

「ごもっともです。おまけにセキュリティロックも掛け忘れ。おかげで親切でバカな家族がフリーで貸し出ししてるみたいになっちゃってさ」

「都市伝説があんなに噂になって。しかも自分のとこの別荘だって知ってて放置するなんて」

「要は、面倒だったんだ。それに、面白いことが大好きでね。うちの家族は」

「はぁ?そんな漫画みたいに」

すっかり種明かしされてしまった真実に
私は呆れて憂さんの顔を見た。

本人は全然気にしてないって感じの涼しい表情で、
荷物を運ぶのを手伝い始めるし。

綴も都も、所有者が存在していた時点で、
もう都市伝説には興味を示していないみたい。

私の目的も、都の決起集会、思い出作り、片想いの終了に絞られた。
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