Simple-Lover
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そんな私に17歳の夏休み転機が訪れた。
親友のなつみが「よし!皆でどっか出掛けて、彼氏作ろう!」と、手をさしのべてくれたのが事の発端だった。
両親が旅行で不在の日曜日、いつも通り遊びに来ていたヒロにぃ。
「ヒロにぃー!見てみて!」
「…はぁ?お前バカじゃないの。何だよ、その格好は。」
「え…?新しいワンピだけど。明日、クラスの何人かと出掛けるから新しいワンピースを買ったんだ。」
「クラスの何人かで出掛けるのに肩も足も丸出しの服なんて来てくんだ。何?何かのエサにでもなりに行くの?私を食べてくださーい!って?」
「…何それ。」
「男は皆、その気になんだよ、そんな格好してりゃ。」
ふいっと顔をそらして、そっけなく、スマホに視線を落とすヒロにぃ。
何となく悲しくなった。
…ただ、可愛いって言って欲しかっただけなのに。
それ以上、ヒロにぃに望んでも仕方ないから、頑張っておしゃれして出掛けようとしてるのに。
「……ヒロにぃのバカ!嫌い!」
捨て台詞を吐き、口を聞くまいと部屋に閉じ籠ること数十分。
トットット…と、ヒロにぃの足音が部屋の前で止まった。
コンコン。
「ヒナ、買ってきたレインボーアイス食う?」
そんな手に引っ掛からないもん!
「いらない!」
「…へぇー。いらないんだ。今夏限定、しかも数量限定の7色の虹色アイスが買えたのになー。そう、いらないのね。」
「………。」
「ま、俺が頂きますからいいんですけどね。」
「……………。」
「あー。残念。旨そうなのにねー。」
ヒロにぃの足音がが去って行く。それにたまらなく不安になった。
「ま、待って…」
ドアを少し開けた途端にグンとそのまま勢いよく、開けられてよろけた体を捕らえられる。
「はい、捕獲ー。」
ヒロにぃの後ろでパタンとドアが閉まった。
「な、何で?だってドアの前から居なくなる音が…」
ぎゅーっと私を抱き締めたまま、くふふと笑うヒロにぃ。
「…何年お前と居ると思ってんだよ。どうせ、俺の気配が消えりゃ、不安になって出てくんだろ?
しかも、アイスのオマケ付きだし。
足音消して潜んでたに決まってんじゃん。」
「ヒナの行動なんてお見通し」と耳裏にヒロにぃの柔らかい唇が触れる。
「…べ、別に不安になってないもん。ただ、限定アイスが食べたかっただけだもん。」
「そ?じゃあ、帰ろっかな、俺は。」
変わらず抱き締めてくれる腕の中、私もヒロにぃの背中に腕を回して、ぎゅーっと抱き締めた。
初めての…ヒロにいの腕の中。その温もりと少し速めの心音が心地いい。
「…ヒナ。このワンピースは誰の為に着んの?」
「…………。」
「ヒナ?」
何も言わずにただ顔をヒロにぃの胸元に埋めている私の髪にヒロにぃのスラッとしている指が通される。
「言っとくけど、答え間違えたらただじゃおかない。」
掠れた小声とヒロにぃの温もりに、キュウッと心臓が音を立てる。
「あー…まぁ、当たっても結果は同じか。」
煩いほどに心音が高鳴る私とは裏腹にヒロにぃの声色は冷静で。
次の瞬間、首筋にチクリと痛みが走った。
「っな、何…?」
言ったのが早いか、体がベッドに横になったのが早いか。
わからないけれど、次の瞬間には上からヒロにぃが私を見下ろし、覆い被さっていた。
「…貰ってい?」
「な、何…を?」
「“何を”って」と笑うヒロにぃがおでこをコツンとつけて、鼻を擦り合わせる。
いつのまにか両手は指同士が絡められてシーツに少し沈んでた。
「…つかさ。元々お前は俺のでしょ?」
「な、何言って…んんっ」
柔らかいヒロにぃの唇で言葉を簡単に塞がれる。
一度離す瞬間にチュッと少しリップ音が響いた。
「人が色々気を遣ってね?手を出さないでいてあげたわけよ。それなのにさ…。
色気放つ相手、間違えてんじゃないよ。」
そこから先は、ただ、ひたすらに繰り返されるキス。
互いの唇は湿り気を帯びて、それでも止まない。
『男は皆、その気になんだよ、そんな格好してりゃ』
…ヒロにぃも?
私のワンピース姿に?
絡めている両手の指に力を込めた。
「…ヒナ」
呟く様に囁かれて見たヒロにぃの表情は、煌めきの多い瞳が少し乱れた前髪から覗き色気を放つ。
ごくりと思わず喉を鳴らした。
…いくら鈍いとは言え、この先何が起こるのか位はわかってる。
経験は…無いけど。
私の両足の間にヒロにぃの脚が割り込んで内腿を擦り上げる。
「ひ、ヒロに…っ!」
首筋に再び唇の柔らかさが降って来て、体が勝手に強ばった。
オフショルダーのワンピースの肩は、ヒロにぃの頬に下げられて、胸元が露になる。
「すーぐ下がんな、これ。」
そこにもまた唇が触れる。
何度も、何度も。
気がつけば沢山紅い痕が咲いていた。
「あーあ。これじゃあ、もう明日は露出度高いものは着れないね。特にこのワンピース。」
「っ…。」
向けられる、柔らかい口角をキュッとあげた笑顔。
「…いいもん。着ないから。」
負けじと言い放った私をハハッと笑うとおでこをコツンとつけた。
「よく答えをおわかりで。」
尖らせた唇にチュッと軽くヒロにぃのが触れる。
「…そう言う顔してんと続きするけど。」
「やだ。」
「うっさい。手遅れ。」
…初めて、男の人を知った。
ヒロにぃの今まで見たことの無い表情を見た。
そんな
ひと夏のハジメテは
「ヒナ…好き。」
ヒロにぃの囁きと温もりで目一杯満たされた。
ー後日ー
「…で?何で今度は水着?しかも、ビキニって。」
「海に行く事になったの!似合う?」
「………。」
※この後、ヒナがどうなったかは、言うまでもありません。
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そんな私に17歳の夏休み転機が訪れた。
親友のなつみが「よし!皆でどっか出掛けて、彼氏作ろう!」と、手をさしのべてくれたのが事の発端だった。
両親が旅行で不在の日曜日、いつも通り遊びに来ていたヒロにぃ。
「ヒロにぃー!見てみて!」
「…はぁ?お前バカじゃないの。何だよ、その格好は。」
「え…?新しいワンピだけど。明日、クラスの何人かと出掛けるから新しいワンピースを買ったんだ。」
「クラスの何人かで出掛けるのに肩も足も丸出しの服なんて来てくんだ。何?何かのエサにでもなりに行くの?私を食べてくださーい!って?」
「…何それ。」
「男は皆、その気になんだよ、そんな格好してりゃ。」
ふいっと顔をそらして、そっけなく、スマホに視線を落とすヒロにぃ。
何となく悲しくなった。
…ただ、可愛いって言って欲しかっただけなのに。
それ以上、ヒロにぃに望んでも仕方ないから、頑張っておしゃれして出掛けようとしてるのに。
「……ヒロにぃのバカ!嫌い!」
捨て台詞を吐き、口を聞くまいと部屋に閉じ籠ること数十分。
トットット…と、ヒロにぃの足音が部屋の前で止まった。
コンコン。
「ヒナ、買ってきたレインボーアイス食う?」
そんな手に引っ掛からないもん!
「いらない!」
「…へぇー。いらないんだ。今夏限定、しかも数量限定の7色の虹色アイスが買えたのになー。そう、いらないのね。」
「………。」
「ま、俺が頂きますからいいんですけどね。」
「……………。」
「あー。残念。旨そうなのにねー。」
ヒロにぃの足音がが去って行く。それにたまらなく不安になった。
「ま、待って…」
ドアを少し開けた途端にグンとそのまま勢いよく、開けられてよろけた体を捕らえられる。
「はい、捕獲ー。」
ヒロにぃの後ろでパタンとドアが閉まった。
「な、何で?だってドアの前から居なくなる音が…」
ぎゅーっと私を抱き締めたまま、くふふと笑うヒロにぃ。
「…何年お前と居ると思ってんだよ。どうせ、俺の気配が消えりゃ、不安になって出てくんだろ?
しかも、アイスのオマケ付きだし。
足音消して潜んでたに決まってんじゃん。」
「ヒナの行動なんてお見通し」と耳裏にヒロにぃの柔らかい唇が触れる。
「…べ、別に不安になってないもん。ただ、限定アイスが食べたかっただけだもん。」
「そ?じゃあ、帰ろっかな、俺は。」
変わらず抱き締めてくれる腕の中、私もヒロにぃの背中に腕を回して、ぎゅーっと抱き締めた。
初めての…ヒロにいの腕の中。その温もりと少し速めの心音が心地いい。
「…ヒナ。このワンピースは誰の為に着んの?」
「…………。」
「ヒナ?」
何も言わずにただ顔をヒロにぃの胸元に埋めている私の髪にヒロにぃのスラッとしている指が通される。
「言っとくけど、答え間違えたらただじゃおかない。」
掠れた小声とヒロにぃの温もりに、キュウッと心臓が音を立てる。
「あー…まぁ、当たっても結果は同じか。」
煩いほどに心音が高鳴る私とは裏腹にヒロにぃの声色は冷静で。
次の瞬間、首筋にチクリと痛みが走った。
「っな、何…?」
言ったのが早いか、体がベッドに横になったのが早いか。
わからないけれど、次の瞬間には上からヒロにぃが私を見下ろし、覆い被さっていた。
「…貰ってい?」
「な、何…を?」
「“何を”って」と笑うヒロにぃがおでこをコツンとつけて、鼻を擦り合わせる。
いつのまにか両手は指同士が絡められてシーツに少し沈んでた。
「…つかさ。元々お前は俺のでしょ?」
「な、何言って…んんっ」
柔らかいヒロにぃの唇で言葉を簡単に塞がれる。
一度離す瞬間にチュッと少しリップ音が響いた。
「人が色々気を遣ってね?手を出さないでいてあげたわけよ。それなのにさ…。
色気放つ相手、間違えてんじゃないよ。」
そこから先は、ただ、ひたすらに繰り返されるキス。
互いの唇は湿り気を帯びて、それでも止まない。
『男は皆、その気になんだよ、そんな格好してりゃ』
…ヒロにぃも?
私のワンピース姿に?
絡めている両手の指に力を込めた。
「…ヒナ」
呟く様に囁かれて見たヒロにぃの表情は、煌めきの多い瞳が少し乱れた前髪から覗き色気を放つ。
ごくりと思わず喉を鳴らした。
…いくら鈍いとは言え、この先何が起こるのか位はわかってる。
経験は…無いけど。
私の両足の間にヒロにぃの脚が割り込んで内腿を擦り上げる。
「ひ、ヒロに…っ!」
首筋に再び唇の柔らかさが降って来て、体が勝手に強ばった。
オフショルダーのワンピースの肩は、ヒロにぃの頬に下げられて、胸元が露になる。
「すーぐ下がんな、これ。」
そこにもまた唇が触れる。
何度も、何度も。
気がつけば沢山紅い痕が咲いていた。
「あーあ。これじゃあ、もう明日は露出度高いものは着れないね。特にこのワンピース。」
「っ…。」
向けられる、柔らかい口角をキュッとあげた笑顔。
「…いいもん。着ないから。」
負けじと言い放った私をハハッと笑うとおでこをコツンとつけた。
「よく答えをおわかりで。」
尖らせた唇にチュッと軽くヒロにぃのが触れる。
「…そう言う顔してんと続きするけど。」
「やだ。」
「うっさい。手遅れ。」
…初めて、男の人を知った。
ヒロにぃの今まで見たことの無い表情を見た。
そんな
ひと夏のハジメテは
「ヒナ…好き。」
ヒロにぃの囁きと温もりで目一杯満たされた。
ー後日ー
「…で?何で今度は水着?しかも、ビキニって。」
「海に行く事になったの!似合う?」
「………。」
※この後、ヒナがどうなったかは、言うまでもありません。
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