小説の中の人を拾いました ─辺境領主のご落胤─
「ちょっ、やめて……あっ!」
なん……だと?
自分ちの屋根の上。
近所のよくエサをあげてる野良ネコが心配そうに私を舐めまわしていた。
東の空が赤く染まっている。
スマホをみると、時間が巻き戻っていてあの流れ星を見た日の朝だった。
いや、そもそも夢だったのか?
例の「令嬢ちゃんねる」を見ても私の名前などひとつもない。
夢にしてはずいぶんとリアルで長かった。
軽く1週間は寝起きした感覚だったのに……。
友人にLIMEを送っても覚えていない。
セルジュさまの影がどんどん薄くなっていく感覚に襲われる。
でも不思議と筆が進むようになった。
もう止まらない。
私の心の中に眠っていた物語を寝食を忘れる勢いでキーボードを叩いた。