妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~
「でも……このままじゃお金が……」

 うーんと頭を抱えて悩み出すお父さんとお母さん。

 私はお父さんとお母さんの話を聞き、さっと血の気が引くような気分になった。

 どうしよう。うちがそんなにお金に困ってるだなんて思ってもみなかった。

 私は少し考えた。

 お父さんが普通のサラリーマンになって、いなり店もやめる。

 裏の土地も売って神社をつぶす。

 そうしたらうちは「普通」になる。

 でも――。

 このお店も神社も、二人にとって大切なものなんだ。

 無くすわけにはいかないよ。

 私は思い切って二人に声をかけた。

「そんなの駄目だよ。私が高校に行くのをやめて働くから!」

「朱里!」
「朱里ちゃん!」

 二人はびっくりした顔で私を見た。

「聞いてたのか。でも、いくらなんでも高校ぐらいは出ないとダメだよ」
「そうそう。中学しか出てない子を雇うところなんてほとんどないわよ」

 反対するお父さんとお母さん。

 そりゃそうだよね。

「じゃあ私、高校に行きながら働くよ。ううん、なんなら今からでも――」

 と、言いかけて気づいた。

 あるじゃん。

 今からでもできる仕事――。

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