妖狐少女と御曹司～最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?～

第四章 ふたりのデート

１５．ふたりの初デート

　カーテンの隙間から差しこむ柔らかな朝日に、私は目を覚ました。

　いつもならお布団のぬくもりに甘えてもう少しだけ寝ていたい時間。

　だけど、今日はいつもとは違う。

　私はガバリと布団から起き上がると、ぎこちない動きで朝食を食べた。

　今日は蒼木先輩との初デートの約束の日。

　胸がどきどきして、ご飯がうまく喉を通らないよ。

　私は歯磨きを終えると、鏡の前に立った。

　昨日の夜に悩んで決めた服に着替えて、鏡の前で一回転する。

「よし……っと」

　偽のカップルなのにあんまり張り切るのも変だし、かといって先輩の隣に立つのに汚い服は着れない。

　そんなわけで昨日の夜は服装悩みに時間をとられてしまったけど……変じゃないかな？

　最後に髪の毛を整えているとインターホンが鳴った。

「朱里、準備はできたか？」

　さすが蒼木先輩。約束の時間ぴったりだ。

「は、はいっ……」

　慌てて階段を駆け下りる。

　うわぁ……ドキドキするっ……。

　緊張で足を滑らせそうになりながら、私は玄関のドアを開けた。

「お待たせしました」

　私はチラリと蒼木先輩を見た。

　蒼木先輩はシンプルだけど程よくトレンドをおさえたすっきりとした服を着ている。

　うわっ、私服の蒼木先輩、かっこいいな。

　手足が長くて、顔が小さくてまるでモデルさんみたい。

　対して私は……。

　私は自分の服を見た。

　とりあえず無難なパーカーにショートパンツ。

　……変じゃないかな？