妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~
私がキョトンと蒼木先輩の顔を見上げていると、先輩は私の頭をポンポンと撫でた。
「……ホント可愛いな」
「へ!?」
「他のヤツの前ではやめろよ、そういう顔」
「そういう顔」ってどんな顔なんだろう。
私、そんなに変な顔してたかな?
私は自分のほっぺをムニムニとつまんだ。
「先輩、ありがとうございました」
私は蒼木先輩に頭を下げた。
「何が」
蒼木先輩は不思議そうな顔をする。
「ほら、テレビで紹介してくれたじゃないですか。それでお店も繁盛したし、バイトも見つかって、私は働かなくてもよくなりました」
私が言うと、蒼木先輩はほんの少し頬を緩めた。
「そうか。じゃあ、思う存分一緒にいられるな」
「……はい。でも良いのでしょうか」
「何が?」
「私は先輩に特に何もしていないのに、先輩は私にこんなに良くしてくれて」
「何言ってるんだ。俺は朱里にたくさんのものをもらっている」
「え?」
私が……先輩に?
少しの間考えたけれど、私が先輩に何をあげたのかは全く分からなかった。