ラスボスの夫に殺される悪役令嬢として転生したので、生き残ってみせる!と意気込んでいたらなぜか夫がデレ始めて戸惑っています
「はい」
「入るぞ」
そう声がして、一人の男性が部屋に入ってきた。
(ひっ、クローク様本人!?)
艶のある黒髪、宵の空のような濃い紺色と翡翠色のオッドアイ、誰もが羨望の眼差しを向けるであろう甘く美しい顔立ちなのに、視線はいつも冷ややかで恐ろしく、近寄りがたい雰囲気を全身から醸し出している。
(綺麗なのに、もったいない)
前世の記憶を思い出してしまったからなのだろうか。怖いはずなのに、そのあまりの美しさについ見惚れてしまう。
ジッとクロークを見つめていると、キャロラインの近くまで来て、スラリとした手足をもてあますようにしながらベッドの端に腰掛けた。
「起きれるようになったんだな」
「えっと、はい、先程目が覚めました」
キャロラインが答えると、クロークは相変わらず冷ややかな眼差しを向けている。
「そうか。それならいい。君の様子を見に行けとレオに言われて仕方なく来ただけだ。無事ならそれでいい」
そう言って、クロークは立ち上がりまたドアの方へ向かう。
(クローク様がお見舞いに来るなんてありえないと思ったけど、レオに言われたなら納得だわ)
レオはクロークの側近であり、唯一クロークが心を許している男だ。
「あ、あの」
キャロラインが思わず声をかけると、クロークは立ち止まって振り返った。綺麗なオッドアイがキャロラインを見つめるが、やはり冷たいままだった。
「来てくださってありがとうございました」
そう言って小さくお辞儀をすると、クロークの眉間に皺が盛大に寄り、訝しげにキャロラインを見る。
「頭を打っておかしくなってしまったのか?君はそんな愁傷なことを言うような人間ではないはずだが」
そう言って踵を返し、そのまま部屋から出ていった。
部屋が静寂に包まれる。
「入るぞ」
そう声がして、一人の男性が部屋に入ってきた。
(ひっ、クローク様本人!?)
艶のある黒髪、宵の空のような濃い紺色と翡翠色のオッドアイ、誰もが羨望の眼差しを向けるであろう甘く美しい顔立ちなのに、視線はいつも冷ややかで恐ろしく、近寄りがたい雰囲気を全身から醸し出している。
(綺麗なのに、もったいない)
前世の記憶を思い出してしまったからなのだろうか。怖いはずなのに、そのあまりの美しさについ見惚れてしまう。
ジッとクロークを見つめていると、キャロラインの近くまで来て、スラリとした手足をもてあますようにしながらベッドの端に腰掛けた。
「起きれるようになったんだな」
「えっと、はい、先程目が覚めました」
キャロラインが答えると、クロークは相変わらず冷ややかな眼差しを向けている。
「そうか。それならいい。君の様子を見に行けとレオに言われて仕方なく来ただけだ。無事ならそれでいい」
そう言って、クロークは立ち上がりまたドアの方へ向かう。
(クローク様がお見舞いに来るなんてありえないと思ったけど、レオに言われたなら納得だわ)
レオはクロークの側近であり、唯一クロークが心を許している男だ。
「あ、あの」
キャロラインが思わず声をかけると、クロークは立ち止まって振り返った。綺麗なオッドアイがキャロラインを見つめるが、やはり冷たいままだった。
「来てくださってありがとうございました」
そう言って小さくお辞儀をすると、クロークの眉間に皺が盛大に寄り、訝しげにキャロラインを見る。
「頭を打っておかしくなってしまったのか?君はそんな愁傷なことを言うような人間ではないはずだが」
そう言って踵を返し、そのまま部屋から出ていった。
部屋が静寂に包まれる。