ラスボスの夫に殺される悪役令嬢として転生したので、生き残ってみせる!と意気込んでいたらなぜか夫がデレ始めて戸惑っています
(こ、こ、こ、怖かったあぁぁ!!!)

 クロークは小説の中でラスボスだ。この国ではオッドアイは呪われた子だと言い伝えられており、そのせいでクロークは家の中でも外でも忌み嫌われてきた。頭もキレ、剣の技術も魔力も申し分ないのに、オッドアイというだけで誰からも愛されることなく育っていく。
 ヒロインと出会いヒロインの心の美しさに救われヒロインに恋をするが、ヒロインがヒーローであるクロークの兄に惹かれていってしまうため、それを妨害しようとする。

 元々、誰からも愛を受け取ることのなかったクロークは、愛の向け方をわからない。そのせいで暴走し、ヒロインを無理矢理自分のものにしようとするが、結果ヒーローである兄に殺されてしまうというキャラクターだ。

(愛を知らないがゆえに愛し方も愛され方も不器用で、勘違いされてしまう悲しいキャラクターなのよね)

 転生前、小説を読んでいた頃はクロークのことを不憫だな、と思っていた。もしも愛を知っていたら、このキャラクターはどんな風だったのだろう。ヒーローに殺されることなく、幸せに生きることができたのだろうか。

(何より、キャロラインはクロークに殺される……)

 悪女であり悪役令嬢でもあるキャロラインは自由奔放わがままし放題、しかもヒーローを好きになってしまいヒロインに嫌がらせをしまくり、その結果クロークの逆鱗に触れ惨殺されてしまうのだ。

(殺されるのだけは勘弁してほしい……!)

 何がどうなって小説の中の世界に来てしまったのか、なぜキャロラインに転生してしまったのかさっぱりわからない。
 だだ、キャロラインとして生を受けこうして生きている以上、死にたくはない。絶対に。

(なんとしてでもクローク様に殺されないようにしないと)

 両手をグーにして、キャロラインはふんす!と意気込んだ。
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