【番外編】再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。その後の話。
その後の話 2 『バレンタイン♡特別編』
「リュー、これ!」
「なんだ?」
「バレンタインデーなのでチョコケーキを作りました!」
執務室にお邪魔して、可愛くラッピングしたそれをソファに座る彼に差し出した。
午後の休憩時間を狙ったので今はセレストさんもいない。
でもリューはとても怪訝な顔をしていて。
「バレン……? や、それよりケーキを、作った? コハルが?」
「はい! と言ってもカップケーキなんですが」
「何もコハルが作ることは」
「いえ、どうしても今日は私が作りたくて厨房をちょっと借りたんです。その、向こうの世界の風習?というか……」
「風習?」
「その、……今日は好きな人にチョコを贈る日なんです」
「!」
改めて説明するとちょっと恥ずかしくて、じわじわと顔が熱くなっていく。
「それで、私も初めて作ったんで自信はないんですが、リューにはどうしても手作りのものをってわっ!?」
いつの間にか立ち上がっていたリューに抱きしめられて慌てる。
「ありがとうコハル。とても嬉しいぞ」
「リュー! ケーキが潰れます!」
「……コハルから甘い香りがするのはそのせいか」
「え?」
「チョコケーキの前にコハルを戴きたいが?」
「!? 何言ってるんですか! 折角作ったんですから早く食べてください!」
「そうか……? なら、コハルが食べさせてくれ」
「へ?」
リューは再びソファに腰掛けると、両手を広げにっこり微笑んだ。