心の声を聞きたい王子様に応える私は変態ですか?
「あー、執事がな。自分の寿命を犠牲にして、君の心を私に読ませたいらしいんだ。あいつは読まないから大丈夫だ」

 え?
 どういうこと?
 全然理解できないよ?

 私の寿命を使うとかだったら、千年の愛も冷めたかもしれないけど、え? 執事さん?

「え、えっと、セルバンティス様に私の心が伝わるようにする……?」
「ああ」
「執事さんは何も読まない……?」
「ああ」
「あ、あの……それ、執事さん何かいいことありますか……?」

 命が削られるんだよね?

「長生きには興味がないらしい。それよりあいつは心を読む私と読まれる君というシチュエーションが好きなようでな」
「……元々短命だった場合、寿命が削られてすぐに死ぬかもしれないのにですか?」
「ああ、その通りだ」

 狂ってる!
 狂ってるよ!?
 私も大概かもしれないけど……あ、だから執事見習いさんが最近よく彼の側に控えていたのね!? あれって、いつ死んでもいいように!?

「それで、だ。私は結婚後初めての夜を心に刻みたいんだ、ユリア」

 あれ、こっちは私の予想通りだった!?

「さ、さすがに人の寿命を削るのは……」
「あいつにどうしてもと頼まれた。それに、私も初めての君を無理させてしまうかもしれない。君の本心が知りたいんだ。私を罵る言葉が聞こえても構わない。頼む」

 どうしてそんなに真摯な顔ができるんですか。言ってる内容、おかしいですよね。

 でも……セルバンティス様は分からなかっただろうけど、夜伽の間の心の声が聞こえることを、私はさっき受け入れた。結婚して最初の夜。彼の希望は叶えてあげたい。これから二人の生活が始まるって時にガッカリさせたくない。

「わ……分かり……ました」
「君ならそう言ってくれると思ったよ! ありがとう。やはり愛している。君が好きだよ。どれだけ私のことを君が嫌うことがあっても、この愛は貫き通すと誓うよ」
「セルバンティス様……」
「あ、そうそう、夢魔の力はその場にいないと使えないんだ。そこのクローゼットの中にあいつは閉じ込めておくから、気にしないでくれ」

 ほえぇぇぇ!?
 気にするよ!?
 すっごいあと出しがきたよ!?

 もしかしなくてもセルバンティス様、実は性格悪いでしょう!?

「君を、愛しているんだ」

 誤魔化そうとしているよね!?

「ク、クローゼットはさすがに……」

 衣装部屋の場所は教えてもらった。そもそも、クローゼットって必要なの? もしかして、このために置いた?
 
「隣に座ってもらうか?」
「それは絶対にイヤです」
「冗談だ」

 ははっとか爽やかに笑っているけど、おかしいよね!?

「じゃ、今から呼ぶよ」

 ほんとに呼んじゃうの!?
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