俺の彼女は高校教師
土曜日。 みんなはお休みの土曜日。
俺は朝からソワソワしっぱなし。 ばれちまうぜ。
父さんと母ちゃんはいつものごとくに朝食を食べております。 俺はというと、、、。
「何か落ち着きないなあ。 どうしたんだ?」 「何でもねえよ。」
「何でもないならいいけど美和ちゃんに迷惑掛けるなよ。」 (何でそっちなんだよ?)
「まあまあ弘明も青春したいのよ。 ねえ?」 「青春?」
「いいわねえ。 気兼ねなく恋をして気兼ねなく振られるなんて、、、。」 持ち上げてるのか追い落としてるのか分かんない。
部屋に戻っても何だか落ち着かない。 香澄だったらこうはならないのに。
YouTubeを見ていてもなんか物足りなくて、、、。 今にも吹き飛びそうだ。
9時半になった。 待ち合わせは10時だからそろそろ行かなきゃね。
「出掛けてくるよ。」 「美和ちゃんによろしくね。」
「何で美和ちゃんなんだよ?」 「違うのかい?」
「ぜんぜん違うわ。」 「そうか。 残念だなあ。」
母ちゃんが残念だろうとどうしようとそんなのは関係無いんだ。 俺は俺なんだから。
そう思いながら商店街までやってきた。 今日も賑やかだなあ 通りは。
商店街もこれくらいに盛り上がってくれたらいいんだけどスーパーとかモールに押されちまっては適わないよな。 駅が見える。
「よしよし。 まだ来てないな。」 ホッとした顔で駅前のベンチに座る。
この駅前には珍しい花時計が置いてある。 春夏秋冬 それぞれの花が植えられている。
季節が変われば花も変わる。 小さい頃からずっと見てきた花時計だ。
雀が屋根の上でなんか歌ってる。 長閑な田舎って感じがいいなあ。
そこへ真っ赤な車が走ってきた。 (美和かな?)と思ったらどっかのおっさんだった。
それから4台ほど通り過ぎてやっと美和が来た。 「お待たせ。」
「先生。」 「だからさあ、、、。」
「ごめんごめん。 美和ちゃん。」 「ったくもう、意地悪なんだから。」
いつものように俺は美和を弄っている。 助手席に座ってもなんか今日は落ち着かない。
「私のマンションに初めて招待するのよ。」 「そうなんすか?」
「今まで招待したいって思うような人が居なくて、、、。」 「そっか。 それで俺を?」
「ここまで私を弄ってきた人なんて居なかったから。」 いつものように脇道を突っ走っていく。
以前に立ち寄ったコンビニの辺りから曲がってさらに突っ走る。 何かえげつないくらいにかっけーーーーー。
40分ほど走ってパークハウス緑ヶ丘っていうマンションに着いた。 「新しいマンションだね。」
「そうねえ。 出来て5年くらいだって言ってたな。」 地下駐車場に車を止めてエレベーターで20階へ。
ここの2037号室が美和の部屋らしい。 いやいや部屋までオートロックになってるぜ。
中に入ると俺は驚いた。 ドアを開けたのと同時にエアコンが動き出し照明が照らし出すんだから。
「最近はマンションでもおっかない事件が多いでしょう。 だから完全オートロックのマンションを選んだの。」 まあ確かに最近はマンションの中でも殺人事件が起きるからなあ。
ここだって安心とは言い切れないけど玄関前には警備員の部屋が在る。 お客さんはそこを通るんだって。
しかもさあ来訪した人は必ず写真を残すんだそうだ。 二回目からは顔認証をするんだって。
「それにしても広い部屋だねえ。」 「そうかなあ? これでも狭いほうなのよ。」
「四つも部屋が有るのに?」 「食堂と寝室は別だし、居間と仕事用の部屋も別だから。」
「へえ、これじゃあ彼氏が何人居ても安心だね。」 「どういう意味よ? 私はそんな遊び人じゃないから。」
「ごめんごめん。 言ってみただけ。」 「ほんとに意地悪なんだからなあ。」
美和は笑いながらコーヒーを入れてくれた。 「弘明君は微糖よね?」
「よくお替りで。」 「それを言うなら「よくお分かりで。」でしょう? もう。」
ほんとに教師と生徒なんだろうか? ただの姉弟にも見えるんだけど、、、。
居間にはステレオが置いてある。 ダブルスピーカーのcdコンポだ。 「随分と懐かしいやつだねえ。」
「そうかもねえ。 昔、mdが流行ってた頃に買ったのよ。 でもmdは使わなくなったから取り外してcdとレコードだけ聞くようにしてるの。」 「レコード?」
「うん。 今ねえ秘かにブームなのよ。 あのアナログティックなブシュッバリバリって音が堪らないって。」 「アナログねえ。」
「弘明君たちはスマホかパソコンの音楽しか聴かなかったでしょう? レコードもいいもんよ。」 「ああ、音楽室に有るね。」
「あれくらい大きな音で聞けたらいいんだけどなあ。」 「ダメなの?」
「出せないことは無いんだけど上も下もうるさい人らしくて、、、。」
そう言いながら美和は1枚のレコードをセットした。 ベートーベンのシンフォニーらしい。
スピーカーを探していた俺は(なるほどな。)と思った。 部屋の三方の隅っこに置いてある。
しかも正面のやつは二段重ねにしてある。 すんげえ拘りだ。
(これでライブなんか聞いたら堪んねえだろうなあ。) 「シンフォニーがダメならこれにしようか?」
そう言って美和が出してきたのはsphのライブアルバムだった。 「いいよいいよ、それはあんまり知らないから。」
美和はアルバムを引っ込めると俺の隣に座った。 妙に緊張するなあ。
「緊張してるの?」 「だってこんな女の子の部屋に来たことが無いから。」
「女の子ねえ。 私も若くなりたいわ。」 「何でだよ?」
「弘明君と同世代だったらもっと楽しかったろうなあって。」 「そうでもないよ。 うちのクラスを見たら分かるだろう?」
「そうなの?」 「ただ騒いでるだけ。 中身なんて無い。」
「そう思うだけよ。」 「そうかなあ?」
「通り過ぎた時に分かるわ。」 美和は溜息を吐くと立ち上がった。
台所に行って何かやっている。 (何をしてるんだろう?)
気になって見に行ったら昼食を作っている最中だった。 「炒飯と卵スープにするね。」
何か知らないけどすんげえ可愛くなってる。 エプロンも花柄だし、、、。
(こうやって結婚したら毎日食事を作るんだろうなあ。) 見ていると飽きないもんだね。
しばらくするといい匂いが漂ってきた。 胡椒の利いた炒飯らしいや。
炒飯ってさあ強火で一気にやらないとご飯がもたもたするんだよなあ。 いやいやすげえ。
昼のチャイムが鳴る頃にはすっかり出来上がって俺たちはテーブルを挟んで向かい合った。 (こんなの香澄たちには絶対に喋れないぞ。)
「さあ食べましょう。」 美和は楽しそうだ。 俺もスプーンを持った。
「美和さあ、俺がこの部屋に来たことは誰にも言わないでね。」 「分かってる。」
「香澄とかあいつらにばれたらうるさいからさあ。」 「そうよねえ。 あのお母さんにも話せないわね。」
「そうそう。 父さんもうるさいから。」 「そうねえ。 弘明君はまだ未成年だもんね。」
いつだったか、未成年の生徒を連れて店で飲んでいた先生が捕まったことが有る。 乗りでやったんだとは思うけどやり過ぎだよなあ。
普段から音楽室で賑やかにやってたんだとか、、、。 「やだあ。 エッチーーーー!」とかってな。
美和とはそこまでやれないなあ。 こいつはお嬢様だから。
俺は朝からソワソワしっぱなし。 ばれちまうぜ。
父さんと母ちゃんはいつものごとくに朝食を食べております。 俺はというと、、、。
「何か落ち着きないなあ。 どうしたんだ?」 「何でもねえよ。」
「何でもないならいいけど美和ちゃんに迷惑掛けるなよ。」 (何でそっちなんだよ?)
「まあまあ弘明も青春したいのよ。 ねえ?」 「青春?」
「いいわねえ。 気兼ねなく恋をして気兼ねなく振られるなんて、、、。」 持ち上げてるのか追い落としてるのか分かんない。
部屋に戻っても何だか落ち着かない。 香澄だったらこうはならないのに。
YouTubeを見ていてもなんか物足りなくて、、、。 今にも吹き飛びそうだ。
9時半になった。 待ち合わせは10時だからそろそろ行かなきゃね。
「出掛けてくるよ。」 「美和ちゃんによろしくね。」
「何で美和ちゃんなんだよ?」 「違うのかい?」
「ぜんぜん違うわ。」 「そうか。 残念だなあ。」
母ちゃんが残念だろうとどうしようとそんなのは関係無いんだ。 俺は俺なんだから。
そう思いながら商店街までやってきた。 今日も賑やかだなあ 通りは。
商店街もこれくらいに盛り上がってくれたらいいんだけどスーパーとかモールに押されちまっては適わないよな。 駅が見える。
「よしよし。 まだ来てないな。」 ホッとした顔で駅前のベンチに座る。
この駅前には珍しい花時計が置いてある。 春夏秋冬 それぞれの花が植えられている。
季節が変われば花も変わる。 小さい頃からずっと見てきた花時計だ。
雀が屋根の上でなんか歌ってる。 長閑な田舎って感じがいいなあ。
そこへ真っ赤な車が走ってきた。 (美和かな?)と思ったらどっかのおっさんだった。
それから4台ほど通り過ぎてやっと美和が来た。 「お待たせ。」
「先生。」 「だからさあ、、、。」
「ごめんごめん。 美和ちゃん。」 「ったくもう、意地悪なんだから。」
いつものように俺は美和を弄っている。 助手席に座ってもなんか今日は落ち着かない。
「私のマンションに初めて招待するのよ。」 「そうなんすか?」
「今まで招待したいって思うような人が居なくて、、、。」 「そっか。 それで俺を?」
「ここまで私を弄ってきた人なんて居なかったから。」 いつものように脇道を突っ走っていく。
以前に立ち寄ったコンビニの辺りから曲がってさらに突っ走る。 何かえげつないくらいにかっけーーーーー。
40分ほど走ってパークハウス緑ヶ丘っていうマンションに着いた。 「新しいマンションだね。」
「そうねえ。 出来て5年くらいだって言ってたな。」 地下駐車場に車を止めてエレベーターで20階へ。
ここの2037号室が美和の部屋らしい。 いやいや部屋までオートロックになってるぜ。
中に入ると俺は驚いた。 ドアを開けたのと同時にエアコンが動き出し照明が照らし出すんだから。
「最近はマンションでもおっかない事件が多いでしょう。 だから完全オートロックのマンションを選んだの。」 まあ確かに最近はマンションの中でも殺人事件が起きるからなあ。
ここだって安心とは言い切れないけど玄関前には警備員の部屋が在る。 お客さんはそこを通るんだって。
しかもさあ来訪した人は必ず写真を残すんだそうだ。 二回目からは顔認証をするんだって。
「それにしても広い部屋だねえ。」 「そうかなあ? これでも狭いほうなのよ。」
「四つも部屋が有るのに?」 「食堂と寝室は別だし、居間と仕事用の部屋も別だから。」
「へえ、これじゃあ彼氏が何人居ても安心だね。」 「どういう意味よ? 私はそんな遊び人じゃないから。」
「ごめんごめん。 言ってみただけ。」 「ほんとに意地悪なんだからなあ。」
美和は笑いながらコーヒーを入れてくれた。 「弘明君は微糖よね?」
「よくお替りで。」 「それを言うなら「よくお分かりで。」でしょう? もう。」
ほんとに教師と生徒なんだろうか? ただの姉弟にも見えるんだけど、、、。
居間にはステレオが置いてある。 ダブルスピーカーのcdコンポだ。 「随分と懐かしいやつだねえ。」
「そうかもねえ。 昔、mdが流行ってた頃に買ったのよ。 でもmdは使わなくなったから取り外してcdとレコードだけ聞くようにしてるの。」 「レコード?」
「うん。 今ねえ秘かにブームなのよ。 あのアナログティックなブシュッバリバリって音が堪らないって。」 「アナログねえ。」
「弘明君たちはスマホかパソコンの音楽しか聴かなかったでしょう? レコードもいいもんよ。」 「ああ、音楽室に有るね。」
「あれくらい大きな音で聞けたらいいんだけどなあ。」 「ダメなの?」
「出せないことは無いんだけど上も下もうるさい人らしくて、、、。」
そう言いながら美和は1枚のレコードをセットした。 ベートーベンのシンフォニーらしい。
スピーカーを探していた俺は(なるほどな。)と思った。 部屋の三方の隅っこに置いてある。
しかも正面のやつは二段重ねにしてある。 すんげえ拘りだ。
(これでライブなんか聞いたら堪んねえだろうなあ。) 「シンフォニーがダメならこれにしようか?」
そう言って美和が出してきたのはsphのライブアルバムだった。 「いいよいいよ、それはあんまり知らないから。」
美和はアルバムを引っ込めると俺の隣に座った。 妙に緊張するなあ。
「緊張してるの?」 「だってこんな女の子の部屋に来たことが無いから。」
「女の子ねえ。 私も若くなりたいわ。」 「何でだよ?」
「弘明君と同世代だったらもっと楽しかったろうなあって。」 「そうでもないよ。 うちのクラスを見たら分かるだろう?」
「そうなの?」 「ただ騒いでるだけ。 中身なんて無い。」
「そう思うだけよ。」 「そうかなあ?」
「通り過ぎた時に分かるわ。」 美和は溜息を吐くと立ち上がった。
台所に行って何かやっている。 (何をしてるんだろう?)
気になって見に行ったら昼食を作っている最中だった。 「炒飯と卵スープにするね。」
何か知らないけどすんげえ可愛くなってる。 エプロンも花柄だし、、、。
(こうやって結婚したら毎日食事を作るんだろうなあ。) 見ていると飽きないもんだね。
しばらくするといい匂いが漂ってきた。 胡椒の利いた炒飯らしいや。
炒飯ってさあ強火で一気にやらないとご飯がもたもたするんだよなあ。 いやいやすげえ。
昼のチャイムが鳴る頃にはすっかり出来上がって俺たちはテーブルを挟んで向かい合った。 (こんなの香澄たちには絶対に喋れないぞ。)
「さあ食べましょう。」 美和は楽しそうだ。 俺もスプーンを持った。
「美和さあ、俺がこの部屋に来たことは誰にも言わないでね。」 「分かってる。」
「香澄とかあいつらにばれたらうるさいからさあ。」 「そうよねえ。 あのお母さんにも話せないわね。」
「そうそう。 父さんもうるさいから。」 「そうねえ。 弘明君はまだ未成年だもんね。」
いつだったか、未成年の生徒を連れて店で飲んでいた先生が捕まったことが有る。 乗りでやったんだとは思うけどやり過ぎだよなあ。
普段から音楽室で賑やかにやってたんだとか、、、。 「やだあ。 エッチーーーー!」とかってな。
美和とはそこまでやれないなあ。 こいつはお嬢様だから。