俺の彼女は高校教師
 母ちゃんたちは昼まで寝てるみたい。 お気楽なもんですなあ。
俺はというとカップラーメンを食べてから出掛ける準備を、、、。 姉ちゃんも寝てるみたいだ。
(あいつら相当に酔っ払ってるんだなあ。 いいご身分だぜ。) 苦笑しながら11時半には家を出る。
 バスで魚屋を通り過ぎて、、、。 香澄の部屋もカーテンが閉まってる。
ウッキー ポッキー アンラッキー。 何だそりゃ?
 次の駅で降りまして美和に電話を、、、。 「分かった。 10分くらいで行くから待っててね。」
今日も何だか嬉しそうな声にドキドキしまくりだあ。 大丈夫かな 俺?
 何も無いのににやけてしまう。 変な高校生。
今のところ、香澄も律子もメールを寄越さないからこのまま平和であってほしいなあ。
 そう思いながらウロウロしていたら真っ赤なフェアレディーが走ってきた。 「乗って。」
「あいよ。」 いつものように助手席のドアを開けて乗り込む。
いつものように甘い香りが漂っている。 美和はスピードを上げた。
 今日も擦れ違う車は少ない。 朝早い時間ならけっこう走ってるらしいんだけどね。
ヘアピンも難なく過ぎてマンションへ、、、。 今日は駐車場へ直行だ。
 車を降りて二人でエレベーターホールへ、、、。 すると目出し帽をかぶった男が擦れ違った。
「何だろうね?」 「シーーーーーーー。」
 俺が疑問に思っているとエレベーターのドアが開いた。 そしていつものように上の階へ。
いつものように居間に落ち着いてコーヒーを飲んでいると、、、。
「あれ? パトカーが来たよ。」 「何? パトカー?」
「ほら、、、。」 見下ろすと正面玄関にパトカーが2台。
「変ねえ。」 「さっきの男のことじゃないの?」
「そうなのかなあ?」 見ていると警察官がマンションに入ってきたのが見える。
「何か有ったんだ。」 「怖いなあ。 また事件?」
実は夕方のニュースではっきりするんだけど3階で事務員の女が殺されてたんだ。 あの男は監視カメラの画像が公開されて指名手配されていた。

 今日も美和が料理を作ってくれている。 「楽しそうだね?」
「だってこうして弘明君が来てくれてるんだから。」 「ほんとに好きなんだね?」
「うん。 好きよ。」 「そっか。」
とは言ったものの、そこから先が進まない。 どうやって話を進めたらいいんだろう?
 美和は楽しそうに料理を作っている。 時々見せ付けるようにお尻を振りながらね。
俺がそのお尻に釘付けになっていると美和が不意に振り向いた。 「エッチ。」
「だって、、、。」 「そっか。 お尻の大きな人が好きなのね?」
いきなり核心を突いてくるからドキッとする。 「私ね、よく言われたの。 大きなお尻だねって。 でもそれがどうも嫌で、、、。」
「ごめん。」 「弘明君は別にいいの。 私をもっと見てほしいから。」
「え?」 「私ね、弘明君には素直になれるんだ。 話しててそう思ったの。」
「美和、、、。」 「今はまだ先生と生徒だけど将来は夫婦でもいいかなって。」
「それはまだ、、、。」 「いいのよ。 まだまだ時間は有るんだしゆっくり考えて。」
 そう言いながらなぜか寂しそうに笑っている。 俺は思わず美和を抱き締めてしまった。
「今はこのままでいいわ。 あんまりやっちゃうと弘明君も学校に居られなくなるから。」 「そうだね。」
そう言ってそっとキスをする。 なんか胸がいっぱいになってきた。

 気を取り直して二人で昼食を、、、。 今日はカルボナーラとオニオンスープだって。
「何かおしゃれだね。」 「そう? 私さあ料理好きだから夜はいつも本を読んでるの。」
「へえ。」 「そうよ。 弘明君ならどれを褒めてくれるかな?って考えながらね。」
 下のほうでは警察の調べが続いている。 そのうちに部屋のベルが鳴った。
「出てくるね。」 美和が玄関へ急ぐ。
しばらくすると「すいません。 お休みのところを。 下の階で殺人事件が有りまして調べてる最中なんですが、、、。」
 どうやら犯人と擦れ違ったらしいことが分かってきた。 「その男は何か言ってませんでしたか?」
「見た感じでは慌ててる風でもなく怯えてる風でもなく平然としてました。」 「顔は分かりましたか?」
「真っ黒な目出し帽をかぶっているので分かりません。」 「ありがとうございました。」
 どうやら警官は俺のほうには興味が無いらしい。 美和は戻ってくると溜息を吐いた。
「嫌ねえ。 こうも事件が多いと。」 「だよなあ。 殺人何だって?」
「うん。 どうもドアを開けた瞬間に狙われたんじゃないかって。」 「おっかねえな。 美和も気を付けるんだよ。」
「ありがとう。」 ってなことを言ってる俺が一番危なかったりして。

 昼食を済ませた後は何をするということも無く、二人ともボーっとしている。 せっかくのラブラブな雰囲気も吹き飛んだらしい。
と思っていたら美和が俺にくっ付いてきた。 「どうしたの?」
「ここもさあ事件が続くから何だか怖くて、、、。」 「だよなあ。 2件とも殺人事件だもん。 ちょっとなあ。」
「移りたくてもお金無いしどうしよう?」 「今は我慢するしか無いんじゃないの?」
「そうよね。 でも怖いわ。」 そう言って縋るような眼で俺を見てくるんだ。
我慢できなくてまたまた美和を抱き締めてしまった。 あったかいもんだなあ。
 肩に顔を載せてみる。 ドラマなんかでよく見るシーンの再現。
ついでにそっと髪を撫でてみる。 なぜか美和が娘のように思えてくるから不思議。
「ドキドキしてるね?」 不意に美和が聞いてきた。
「そりゃ、、、。 初めてだから。」 「そうなの? 香澄ちゃんは?」
「あいつは小学生の頃から知ってるからただの友達だよ。」 「そうなんだ。」
 美和は安心したように俺の肩に顔を埋めた。 おませだなあ、、、。
こんなのが香澄にばれたらどえらいことになるぞ。 あのお父さんだって包丁を振り回して怒鳴り込んでくるかも。
 危ないやつだよなあ。 ばれないようにしなきゃ、、、。
重くなったなって思ったら美和がすっかり寝てしまっている。 これじゃあ動けないぜ おい。
それでも何とか抱えて寝室へ、、、。 ドアを開けて中に入って、、、、、、。
ベッドに美和を寝かせようとするんだけどしがみ付いてて離れないじゃない。 離れてよ 少しは。
甘えん坊だったのかなあ? それはそれで可愛いかも。
 なんとかベッドに寝かせて、、、。 でも見ていたらやっぱり可愛くて、、、。
香澄みたいに上に重なってみた。 「うーーーーん。」
寝落ちしかけた時、美和の唸り声が聞こえて俺は慌てて飛び退いた。 危なかった。
 (ばれてないだろうなあ?) 心配にはなったけど美和はまだまだ熟睡中だ。
ホッとした俺は隣に寝転がって美和の顔を拝みながら目を閉じた。
 それからどれくらい経ったんだろう? 「よく寝たわねえ。」っていう美和の声で俺も目を覚ました。
「美和、よく寝てたね。」 「昨日、けっこう飲んじゃったから。」
「もう3時過ぎちゃったんだ。 速いなあ。」 「何も出来なかったわね。 ごめんね。」
「いいよ。 美和の寝顔も見れたし抱っこできたし、天国だったよ。」 「そうなの? 恥ずかしいなあ。」
「またまた、、、。 そんな真っ赤な顔して。」 「だって恥ずかしいんだもん。」
美和はちょいと乱れた髪を直している。 「準備できたら送るね。」
「ああ、ありがとう。」 「また呼ぶから来てね。」
「分かった。 いつでも待ってるよ。」 居間を出た俺は美和の腰に腕を回してみた。
「将来、いい人に出会えるかなあ?」 「もう出会ってるんじゃないの?」
「そう? そうかもねえ。 弘明君だけだもんねえ。 このマンションに呼んでるのは。」 「大正解。」
「何かの番組みたい。」 「それって大霊界、、、じゃないの?」
「どうだろうなあ? 違うかもよ。」 そう言っていたずらっぽく笑う美和もこれはこれで好きだなあ。
 エレベーターホールはまだまだ数人の警察官が歩き回っている。 その邪魔にならないように通り抜けて地下へ下りていく。
フェアレディーに乗ると美和は一気にエンジンを吹かした。 「おいおい、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。 いつもやってることだから。」 隣にはクラウンが止まっている。
「さあ、行くわよ。」 坂を駆け上がると通りへ一気に駆け抜けていった。
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