俺の彼女は高校教師
そんなわけで仲がいいのか悪いのか、俺たちでさえ分からない俺たちなんです。 困ったもんですわ。
「何に困ってるのよ?」 「お前の処分方法だよ。」
「処分ねえ。 体は生ゴミでいいでしょう? 頭は焼いて食べてもらおうかな。」 「誰が食べるんだよ?」
「もちろん弘明君よ。」 「何で俺が?」
「私はあなたの大事な、、、。」 「ご飯よーーーーーーー!」
何かを言い掛けたところでお母さんの大きな声が聞こえた。 「行かなきゃ、、、。」
ドタドタと階段を駆け下りる俺たち。 「まあまあ、そんなに急がなくても無くならないわよ。」
「いいのいいの。 これが私たちなんだから。」 「一緒にするなってば。」
「弘明君も大変ねえ。 こんな娘だけど死ぬまでよろしくね。」 「それはちょっと、、、。」
「お母さん それは言い過ぎよ。」 「でもあんた、弘明君以外に好きな人は居るの?」
「それは、、、。」 「だったらお願いしなさい。 死ぬまでよろしくって。」
「弘明君 私のこと 死ぬまでよろしくね。」 (なんちゅう親子なんだよ? これじゃあ魚屋から離れられなくなるぞ。)
複雑な思いで鰹の刺身を食べ、吸い物を飲んで腹いっぱいになったところで眠くなった俺は香澄の部屋で寝てしまった。
「そろそろ起きてよ。」 「ん?」
「ん?じゃなくて起きなさい。」 「何時だよ?」
「もう5時よ。 いつまで寝てるの?」 「腹いっぱい食ったから眠くなったんだよ。」
「明日は何をするの?」 「さあねえ。 何も予定は無いけど。」
「ふーん、そうなんだ。」 「冷たいなあ。」
「だって誘えば怒るんだもん。」 「そりゃあ誘われて文句まで言われたんじゃ誰だって怒るわな。」
「そうなんだ。 知らなかったなあ。」 「平和なお嬢様ですなあ。」
「だからお嬢様はやめてって言ってるでしょう?」 「だから馬鹿馬鹿はやめてって言ってるでしょう?」
「真似しないの。」 「真似しないの。」
「んもう、、、。」 「じゃあ帰るからな。 ひょっとこ。」
「あのなあ、、、。」 角を生やしそうな香澄をほっといて俺は魚屋を出た。
もうすぐ夜。 この辺りは都会ほどうるさくもないから夜が来たって感じがしない。 そのままで夜になっちゃったって感じ。
もし東京みたいに24時間銀ギラ銀だったらどうなるんだろう? 考えただけで恐ろしいわ。
夜は寝るもんだぜ。 馬鹿みたいに遊んで回るもんじゃない。
でもさあ、東京って半分以上は田舎者の集まりなんだよな。 根っからの江戸っ子はそんなに居ないはず。
しかも23区が急激に増えたのは集団就職以後。 それ以来、日本の文化と経済と外交をリードしてるって思い上がってる。
言っとくけどなあ、文化は全国各地に根付いてるの。 東京だけが文化の発祥地じゃないの。
思い上がりはやめてほしいなあ。 あんたらの文化を全国の人たちがみんな受け入れると思ってるのか? 7割はくだらないと思ってるよ。
臍出し背出し腰パンに鼻ピアス、どっからどう見たってファッションとは言えない物ばかり。 俺は嫌いだね あんなの。
もうすぐ夏至だ。 そろそろ蛍も出てくるかなあ? それはまだか。
夏至を過ぎたら夏休みの話も出てくるなあ。 毎年毎年、宿題に追われてるだけのような気がするんだけど、、、。
いろいろと高校生なりに考えることは有るんです。 そろそろ進路もはっきりさせないといけないしね。
進路と言えば香澄も就職するって言ってたなあ。 何をするんだろう?
まあ資格は働きながらでも取れるからいいけど、、、。 あいつが仕事ねえ。
近所のあのスーパーだったりして。 だとすると、、、。
「えーーーー、弘明君 買い物に来たのーーーーーーーー?」なんていきなり吠えそうだしなあ。 かと思えば、、、。
「これを買うんなら私も買ってよ。」なんて言ってきたりして。 さすがにそれは無いか。
レジ打ちと言えば以前、こんな話を聞いたことが有る。
東京のスーパーでレジ打ちをしているお姉さんが居た。 その人はそれまでに何件も就職と辞職を繰り返していた。
履歴書にはかつて勤めた会社の名前がズラリと並んでいて(そろそろ故郷に帰ろうかな。)なんて考えるようになってきていた。
実家からも「そろそろ諦めて帰って来い。」って何度も電話が掛かってくる。 狭いアパートの部屋を見回すと荷物がゴロゴロ転がっていた。
ある日、引っ越しのために荷物を整理していたお姉さんは机の引き出しを開けてみた。 そこには古いノートが入っていた。
「何だろう?」 そう思ったお姉さんはノートを開いて読み始めた。 それは小学生の頃、ピアノ教室に通っていた時のノートだった。
鍵盤を一つずつ覚えていく。 簡単な曲を弾けるようになる。
その時の嬉しかった記憶が蘇ってきた。 「そうだ‼ 私にはこんな時も有ったんだ‼」
ついでに思い出した。 鍵盤は見なくても弾けるんだよね。
ってことはさあレジも見なくたって打てるんじゃないの? そう思ったお姉さんは早速やってみた。
思った通りだった。 世界が180度変わったような気がした。
それまではレジのボタンを必死に追い掛けてそれで疲れてたんだ。 お姉さんは元気になった。
それから、、、。 お客さんの顔も見れるようになった。
小さな子供を連れている人を見掛けると子供にも話し掛けられるようになった。
「これを買われるんでしたらもっと安い物が有りますよ。」 お客さんにそうアドバイスできるようにもなった。 そんなある日のこと、、、。
いつものように仕事をしていると店内放送が入った。 聞いてみると何か変。
「レジはたくさん有りますから一か所に集中なさらないでください。 大変にレジが混雑しております。 他のレジへお回りください。」
(変なことを言ってるなあ。) お姉さんは不思議に思いながらお客さんの行列を目の当たりにした。
お客さんが自分のレジに行列を作っていたんだ。 「この人は子供の話もちゃんと聞いてくれるよ。」
「安い物が有ればそれを教えてくれるから助かってる。」 「ぜひこの人にレジをやってほしい。」
お客さんたちが口を揃えて言うものだからお姉さんは感激して泣き崩れてしまった。
生活に追われていると見失ってしまう物が有る。 何気なく自分がやってきたことでも面倒くさく感じることが有る。
仕事に追われているとそれを理由に忘れてしまう過去が有る。 それをふと思い出した時、人は思わぬ発見をしたように感じる。
子供の頃、小さなことでもあんなに喜んでいたのに今じゃあ感動すらしなくなっている。 それが大人になるってことなのかな?
そうだったら寂しいね。 俺はそう思うよ。
家に帰ってくると母ちゃんたちはもう夕食を食べ始めていた。 「遅かったねえ。」
「魚屋に行ってたから。」 「何だい お前魚屋になるのか?」
「香澄に呼ばれたんだよ。」 「あんたも愛されてるなあ。 大事にするんだよ。」
「はいはい。」 一応返事をして椅子に座る。
今夜はカレーだって。 鰹の刺身をいっぱい食べた後だからなあ、、、。
「何に困ってるのよ?」 「お前の処分方法だよ。」
「処分ねえ。 体は生ゴミでいいでしょう? 頭は焼いて食べてもらおうかな。」 「誰が食べるんだよ?」
「もちろん弘明君よ。」 「何で俺が?」
「私はあなたの大事な、、、。」 「ご飯よーーーーーーー!」
何かを言い掛けたところでお母さんの大きな声が聞こえた。 「行かなきゃ、、、。」
ドタドタと階段を駆け下りる俺たち。 「まあまあ、そんなに急がなくても無くならないわよ。」
「いいのいいの。 これが私たちなんだから。」 「一緒にするなってば。」
「弘明君も大変ねえ。 こんな娘だけど死ぬまでよろしくね。」 「それはちょっと、、、。」
「お母さん それは言い過ぎよ。」 「でもあんた、弘明君以外に好きな人は居るの?」
「それは、、、。」 「だったらお願いしなさい。 死ぬまでよろしくって。」
「弘明君 私のこと 死ぬまでよろしくね。」 (なんちゅう親子なんだよ? これじゃあ魚屋から離れられなくなるぞ。)
複雑な思いで鰹の刺身を食べ、吸い物を飲んで腹いっぱいになったところで眠くなった俺は香澄の部屋で寝てしまった。
「そろそろ起きてよ。」 「ん?」
「ん?じゃなくて起きなさい。」 「何時だよ?」
「もう5時よ。 いつまで寝てるの?」 「腹いっぱい食ったから眠くなったんだよ。」
「明日は何をするの?」 「さあねえ。 何も予定は無いけど。」
「ふーん、そうなんだ。」 「冷たいなあ。」
「だって誘えば怒るんだもん。」 「そりゃあ誘われて文句まで言われたんじゃ誰だって怒るわな。」
「そうなんだ。 知らなかったなあ。」 「平和なお嬢様ですなあ。」
「だからお嬢様はやめてって言ってるでしょう?」 「だから馬鹿馬鹿はやめてって言ってるでしょう?」
「真似しないの。」 「真似しないの。」
「んもう、、、。」 「じゃあ帰るからな。 ひょっとこ。」
「あのなあ、、、。」 角を生やしそうな香澄をほっといて俺は魚屋を出た。
もうすぐ夜。 この辺りは都会ほどうるさくもないから夜が来たって感じがしない。 そのままで夜になっちゃったって感じ。
もし東京みたいに24時間銀ギラ銀だったらどうなるんだろう? 考えただけで恐ろしいわ。
夜は寝るもんだぜ。 馬鹿みたいに遊んで回るもんじゃない。
でもさあ、東京って半分以上は田舎者の集まりなんだよな。 根っからの江戸っ子はそんなに居ないはず。
しかも23区が急激に増えたのは集団就職以後。 それ以来、日本の文化と経済と外交をリードしてるって思い上がってる。
言っとくけどなあ、文化は全国各地に根付いてるの。 東京だけが文化の発祥地じゃないの。
思い上がりはやめてほしいなあ。 あんたらの文化を全国の人たちがみんな受け入れると思ってるのか? 7割はくだらないと思ってるよ。
臍出し背出し腰パンに鼻ピアス、どっからどう見たってファッションとは言えない物ばかり。 俺は嫌いだね あんなの。
もうすぐ夏至だ。 そろそろ蛍も出てくるかなあ? それはまだか。
夏至を過ぎたら夏休みの話も出てくるなあ。 毎年毎年、宿題に追われてるだけのような気がするんだけど、、、。
いろいろと高校生なりに考えることは有るんです。 そろそろ進路もはっきりさせないといけないしね。
進路と言えば香澄も就職するって言ってたなあ。 何をするんだろう?
まあ資格は働きながらでも取れるからいいけど、、、。 あいつが仕事ねえ。
近所のあのスーパーだったりして。 だとすると、、、。
「えーーーー、弘明君 買い物に来たのーーーーーーーー?」なんていきなり吠えそうだしなあ。 かと思えば、、、。
「これを買うんなら私も買ってよ。」なんて言ってきたりして。 さすがにそれは無いか。
レジ打ちと言えば以前、こんな話を聞いたことが有る。
東京のスーパーでレジ打ちをしているお姉さんが居た。 その人はそれまでに何件も就職と辞職を繰り返していた。
履歴書にはかつて勤めた会社の名前がズラリと並んでいて(そろそろ故郷に帰ろうかな。)なんて考えるようになってきていた。
実家からも「そろそろ諦めて帰って来い。」って何度も電話が掛かってくる。 狭いアパートの部屋を見回すと荷物がゴロゴロ転がっていた。
ある日、引っ越しのために荷物を整理していたお姉さんは机の引き出しを開けてみた。 そこには古いノートが入っていた。
「何だろう?」 そう思ったお姉さんはノートを開いて読み始めた。 それは小学生の頃、ピアノ教室に通っていた時のノートだった。
鍵盤を一つずつ覚えていく。 簡単な曲を弾けるようになる。
その時の嬉しかった記憶が蘇ってきた。 「そうだ‼ 私にはこんな時も有ったんだ‼」
ついでに思い出した。 鍵盤は見なくても弾けるんだよね。
ってことはさあレジも見なくたって打てるんじゃないの? そう思ったお姉さんは早速やってみた。
思った通りだった。 世界が180度変わったような気がした。
それまではレジのボタンを必死に追い掛けてそれで疲れてたんだ。 お姉さんは元気になった。
それから、、、。 お客さんの顔も見れるようになった。
小さな子供を連れている人を見掛けると子供にも話し掛けられるようになった。
「これを買われるんでしたらもっと安い物が有りますよ。」 お客さんにそうアドバイスできるようにもなった。 そんなある日のこと、、、。
いつものように仕事をしていると店内放送が入った。 聞いてみると何か変。
「レジはたくさん有りますから一か所に集中なさらないでください。 大変にレジが混雑しております。 他のレジへお回りください。」
(変なことを言ってるなあ。) お姉さんは不思議に思いながらお客さんの行列を目の当たりにした。
お客さんが自分のレジに行列を作っていたんだ。 「この人は子供の話もちゃんと聞いてくれるよ。」
「安い物が有ればそれを教えてくれるから助かってる。」 「ぜひこの人にレジをやってほしい。」
お客さんたちが口を揃えて言うものだからお姉さんは感激して泣き崩れてしまった。
生活に追われていると見失ってしまう物が有る。 何気なく自分がやってきたことでも面倒くさく感じることが有る。
仕事に追われているとそれを理由に忘れてしまう過去が有る。 それをふと思い出した時、人は思わぬ発見をしたように感じる。
子供の頃、小さなことでもあんなに喜んでいたのに今じゃあ感動すらしなくなっている。 それが大人になるってことなのかな?
そうだったら寂しいね。 俺はそう思うよ。
家に帰ってくると母ちゃんたちはもう夕食を食べ始めていた。 「遅かったねえ。」
「魚屋に行ってたから。」 「何だい お前魚屋になるのか?」
「香澄に呼ばれたんだよ。」 「あんたも愛されてるなあ。 大事にするんだよ。」
「はいはい。」 一応返事をして椅子に座る。
今夜はカレーだって。 鰹の刺身をいっぱい食べた後だからなあ、、、。