俺の彼女は高校教師
 (何だろう、この萌え萌えする感じは?) 美和を抱いた時以来の電撃が走っている。
「どうしたの? 息が荒くなってるけど、、、。」 (ギク、、、。)
「何でもねえよ。」 「そうかなあ? 何か有るんじゃないの?」
「何にもねえってば。」 「ほんとかなあ?」
 「ほらほら、さっさと体も洗っちまえよ。 送って行かなきゃいけないんだから。」 「今夜もデートできるんだあ。 やったあ!」
「さっさとやれっての。」 俺が洗面器でお湯をぶっかける。
「やったなあ‼ 許さないんだからーーーーー‼」 「さっさと洗わねえと送らねえぞ。」
「分かった。 分かったわよ。」

 さてさてようやく風呂から出た俺たちはジュースで頭を冷やしてから外へ出ました。 雨が降ってますなあ。
「相合傘しよう。」 香澄が傘を持って俺に言ってきた。
「相合傘ねえ、、、。 しゃあねえなあ。」 「高橋先生のほうがいいんでしょう?」
「そんなことねえよ。 馬鹿。」 「また私を馬鹿にした。」
「馬鹿にしなきゃ何にするんだよ? 馬鹿。」 「馬鹿馬鹿言わないでよ。 私にも香澄って名前が有るんだから。」
「馬鹿香澄。 馬鹿香澄。」 「だからさあ、、、。」
「しゃあねえなあ。 お嬢様。」 「んもう、、、。」
 夜になっても俺たちは分かるような分からないような突っ込み合いをしております。 通り過ぎる車も居ません。
(静かだなあ。 こんな道を美和と歩きたいわ。) 「ねえ、何処見てんのよ?」
「え? うわ‼」 よそ見をしていた俺は思わず側溝に嵌り込んでしまった。
「んもう、これなんだからなあ。」 「しゃあねえだろう。 お前の付き添いなんだから。」
「私が付き添ってるようなもんよ。 宏明君。」 右足を泥だらけにしてしまった俺は何とも情けない顔をしているしかない。
 香澄の家に着いても俺は母さんたちにすら会わずに飛んで帰ってきた。 「おやおや、どうしたんだい?」
「側溝に嵌っちゃってさ、、、。」 「香澄ちゃんに変なことしてないだろうねえ?」
「されることは有ってもすることは無いから。」 「だったらいいけど、、、。」
母ちゃんは怪訝そうな眼で風呂を勧めてきた。 そこでのんびりと湯に浸かってみる。
 「香澄と一緒に風呂に入るとは思わなかったな。 あいつもずいぶんと女らしくなったなあ。」 ボーっとしているとサッシが開いた。
 「弘明、また入ってるの?」 (ゲ、姉ちゃんだ。)
「なあに? そんなに驚いちゃって、、、。」 「いやいや別に、、、。」
「香澄ちゃんの裸も見たんでしょう?」 「そりゃあまあ、、、。」
「どうだった?」 「しっかりとは見てないから、、、。」
「見てやんなさいよ。 女ってね、彼氏の前では自分でも驚くくらいに素直になるのよ。」 「そうなの?」
「じゃなかったら結婚して子供を産もうなんて思わないわよ。 まあ最近の女はどうか知らないけどね。」 「そんなものなの?」
「そりゃねえ、女は命を繋ぐために生まれてくるのよ。 男みたいにやり逃げなんか出来ないわよ。」 「それもそうだ。」
「出来るんだったら男にも子供を育てる苦しみを味合わせてやりたいわ。」 「子供を育てる苦しみ?」
「そうよ。 女って生き物は自分の命を削って子供を育てるの。 体の中で子供を大きくするのよ。 分かってる?」 「そりゃまあ、、、。」
「確かに学校でも保健体育の授業はするでしょう。 でも現実はそんなもんじゃないのよ。」 今夜の姉ちゃんは迫力が全然違う。
どっから来るんだ この迫力は?
 「美和だってあんたの子供を身籠ったりしたらそれだけでブルーになったりハイテンションになったり苦しんだりもがいたりするの。 ほんとに美和が好きだったらあんたもそこまで分かってあげることね。」 「うん。」
「妊娠してる間って自分のことだけを考えてりゃいいってわけにはいかないの。 お腹に子供が居るんだからね。 二人分の悩みを抱え込むのよ。 それでどうしようもなくなって鬱になったり自殺しそうになったりする人だって居る。 赤ちゃんが育たなかったら自分だけじゃない 相手の男にだって迷惑と心配を掛けるんだもん。 生易しいことじゃないのよ。 子供を育てるってことは。」
 最近、「育てられないから。」とか「家族に知られたくないから。」とかいう身勝手な理由で産んだ子供を廃棄する女がニュースになっている。 そんなんでいいんだろうか?
もし美和がそんなことをしたら俺はブチ切れるかもしれないな。 俺の子供でもあるんだから。
 じゃあ、子供を廃棄した女たちはどうしてるんだろう? そもそもが間違ってるよね。
 結婚したくてエッチしたとは思えない。 そうだったら簡単に子供を捨てないだろう。
ただやりたかっただけとも思えない。 やれば妊娠するリスクが有ることくらいは誰だって知ってるはず。
 じゃあ流行りに任せてやっちまったのかな? そうだとも思えない。
セックスなんて流行り廃りは無いんだからね。 じゃあいったい何があそこまで、、、?
 しかも毎年のようにニュースに上がってくるよね。 見るだけでも嫌なんだけど。
実家の裏庭に埋められてたら怖くて実家に立ち寄れなくなるじゃん。 嫌だなあ。

 部屋に戻ってきた俺は何気にスマホを開いてみた。 メールが来てる。

 『弘明君 送ってくれてありがとう。 お父さんからもお礼を言うように言われた。
明日からもよろしくね。 by香澄。』

 (何偉そうに艶着けてんだ? あの馬鹿。) 苦笑しながらネールを返信する。

 『お嬢様のことですから大切にお届けしないといけないと思いまして。』

 『だからさあ、いつになったらお嬢様っていうのをやめてくれるの?』

 『俺にはすごーーーーーーーーーーく永遠のお嬢様ですわ。 オホホ。』

 『いい加減に辞めてくれないかなあ? 嫌なんだけど。』

 『じゃあ健太郎の彼女にでもなったらどないですの? お似合いですわよ。 香澄お嬢様。』

 『もう知らない。』

 香澄が腹を立ててメールを停めたから俺はホッとして布団に入った。 まったくもう、、、。
ところがだ。 寝ている俺はドキッとして目を覚ました。
だってだってだって香澄がでーーーーーーーーーーーーーっかい顔で迫ってきたんだもん。 殺されるかと思ったわ。
 「あの日以来だな。 ああまでして抱きたいとは思わないんだけどさあ、、、。」 頭をスッキリさせたくて残っていた三ツ矢サイダーを一気に飲み干す。
ジュワーッと来て一気に目が覚めてしまった。 飲まなきゃよかったな。
 翌日も冴えない顔で香澄たちの騒ぎを聞いております。 昨日の俺は何だったんだろう?
「香澄ちゃん 俺と付き合ってよ。」 「うーーーーーん、落選。」
「何だそりゃ?」 「吉村君はタイプじゃないから。」
「あっそう。」 「振られたな お前。」
 「やっぱり香澄には宏明君よねえ? ねえ香澄?」 「さあねえ。」
「どうしたのよ? 喧嘩でもしたの?」 「ちょっとね。」
「分かった。 お嬢様って言われるもんだから怒ってるんでしょう?」 (グサ、、、。)
 「香澄さあ、いつまでお嬢様ぶってるのよ? そんな上品でもないんだし田舎娘なんだしやめちゃいなさいよ。」 「私お嬢様じゃないもん。」
「ほらほら、それが田舎のお嬢様なのよ。 可愛くないわよ。」 「そうねえ。 香澄はやっぱりお嬢様だよねえ。」
「小百合ちゃんまで、、、。」 どうやら、今日もやられっぱなしらしい。
 放課後になって昇降口に下りてくると香澄が飛び付いてきた。 「どうしたんだよ?」
「私ね、やっぱり弘明君が大好きなの。」 「だから?」
「だからって、、、、その、あの、、、、。」 「行くぞ。 また遅れるから。」
「ああ、待ってよーーーーーー‼」 「ねえ、律子、あの二人さあ死んでも離れないわよ。」
「いいじゃん。 あれがほんとの腐れ縁よ。」 「そうだねえ。 宏明君もかわいそうに、、、。」



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