俺の彼女は高校教師
 取り敢えず香澄の父さんにも連絡して家に居ることを伝えておいた。 そうしないと噴火するからな。
「ごめんなあ。 我が儘な娘で。 落ち着くまで居させてやってくれな。」 そう言ってお父さんは秋刀魚を5尾お詫びにって持ってきた。
 「あらあらあら、お詫びに秋刀魚まで貰っちゃって、、、。」 「いいんですよ。 いつも香澄が弘明君のお世話になってるから。」
「じゃあ焼き魚にして戴きます。」 「いいやつだから刺身でも十分に食えるよ。」
「あらまあ、そうなの? じゃあお父さんには摘みにするわ。」 「それじゃあ、、、。」
 そんなこんなで夕食は5人で食べるわけです。 またまたこれかよ。
香澄はどっか嬉しそう。 「お前がじゃじゃ馬だから父さんにまで迷惑を掛けちまったんだぞ。」
「弘明、いいから食べなさい。」 「分かってる。 ほんとにごめんね。」
「とか言いながら明日になったら恨んでやるーーーーーーって始めるんだろう?」 「もう言わないから許して。」
「香澄ちゃん 言いたいことはどんどん言っていいのよ。 我が儘なんだから困らせてやりなさい。」 「十分に困らせちゃったけど、、、。」
「まあいいじゃないか。 仲良くすればいいんだ。 仲良くすれば。 なあ弘明。」 「う、うん。」
それから俺たちは黙々と秋刀魚の塩焼きを食べ続けるのですよ。 お通夜みたい。
 今夜の秋刀魚は肥えてるやつでぶっといなあ。 こんな秋刀魚は見たことが無い。
食べ終わった香澄は洗い物を手伝っております。 そのうちに「嫁さんに。」なんて言い出しそうで怖いけど。
 「香澄ちゃんもいい子じゃない。 嫁にしたらどうだ?」 父さんが先に言ってきた。
「まだまだ修行が足りないよ。」 「お前が鍛えればいいんだよ。」
「俺じゃあ無理っす。」 「何で?」
「これまでさんざんに世話を焼かされて疲れたっす。」 「そんなこと言ってもお前、、、。」
 「あのことをばらしちゃうぞ。」 そこへ姉ちゃんが耳打ちしてきた。
「それは絶対にダメ。」 「だったらここはうまくまとめなさいよ。」
そう言ってニヤニヤしている姉ちゃんは部屋に戻っていった。 (あんちきしょう、、、。)
 その後、香澄はというと姉ちゃんと一緒にお風呂に入っております。 笑い声が聞こえてきた。
「弘明ってさあ、ああ見えてあんたのことを人一倍心配してるのよ。」 「そうなの?」
「無愛想だから分からないでしょう?」 「うん。」
「でもね、だからって弘明を困らせないのよ。 爆発したら怖いんだから。」 「そうだよね。」
「嫌なことが有ったら私に話して。 聞いてあげるから。」 「ありがとう。」
「今夜はどうするの?」 「泊まります。」
「またかい。」 「だって、、、。」
「いいわ。 宏明にも言っとくからね。」
そう言って姉ちゃんは風呂から出て行った。

 さてさて俺はというと珍しくネットサーフィンをしてますですよ。 疲れ切っちゃっててさ。
イライラしながらあっちこっち覗いてまーす。 いい物は無いなあ。
そこでYouTubeから気に入りそうな動画を、、、。 川の動画が有ったからそれを見てますが、、、。
床に寝転がって聞いていたら寝ちまったみたい。 夜中に目を覚ますと香澄が上に乗っかってます。
(またやりおった。) 無下に下ろすわけにもいかず、そのままラッコみたいにお腹の上に載せておこう。
でも重たいよなあ。 拳骨を一発。
「いたーーーーーーーい。」 でっかい声を出すもんだから姉ちゃんが飛んできた。
「なになに? 何をしてんの?」 ドアを開けるなり、俺に重なっている香澄を見て姉ちゃんは目が点になったらしい。
何も言わずにドアを閉めて部屋に戻っていきました。 チャンチャン。

 何だか変な気持ちのままに日曜日になりまして、、、。 俺は朝から暇を持て余しております。
何処かに遊びに行くような予定も無く、誰かが遊びに来るような予定も無い。 何かに嵌り込む予定も無ければ俺を嵌らせてくれるような物も無い。
 母ちゃんたちは「映画を見てくるね。」と言ってさっさと行ってしまった。 姉ちゃんはあの後、またまた旅行で北海道に飛んでおります。
「たまにはあの姉ちゃんの部屋でも覗いてみるか。」 そう思った俺は姉ちゃんの部屋のドアを開けてみた。
中学生になった頃から部屋に入ったことは無いんだよなあ。 それまではよく入ってたのに。
 鏡が置いてあります。 やっぱり添乗員だ。
んでもって机の上にはファッション系の雑誌がドサッと置いてある。 髪型から靴までまあいろいろと、、、。
 壁際には箪笥が、、、。 これはやめとこうか。
どうせ下着やら服やらどっさり入ってるんだろうから。 グルリト辺りを見回して部屋を出ると、、、。
カタカタって音がした。 (あの野郎、、、。)
 階段の陰に隠れて様子を見ていると今に入っていく人影が、、、。 そーっと下りて行きまして居間に入った所で「ワン‼」と吼えてみた。
「ギャーーーーーー‼」 「何がギャーーーーーだよ? コソ泥様。)
「何よ? わたしは泥棒じゃないもん。」 「じゃあ何でしょうなあ?」
「私は香澄ちゃん。」 おどけて言うものだから俺はひっくり返った。
「そんなにこけなくてもいいでしょう?」 「こけるわな。」
「コケコッコー‼」 「アホか。」
「アホちゃいまんねん。」 「馬鹿でんねん。」
「あのねえ、ちゃんと合わせてよ。」 「俺にか?」
「違うわよ。 私に合わせてよ。」 「お前とは合いませんがねえ。」
「こんなに仲いいのに?」 「仲良かったっけ?」
「あっそうか。 宏明君は美和先生じゃないとダメなのよねえ?」 「そんなことも無いけどなあ。」
「うわうわ、美和先生可哀そう。」 「お嬢様に弄られるほうが可哀そうだと思いますけど、、、。」
「だからさあ、そのお嬢様っていつになったらやめてくれるの?」 「香澄様が玄関からお入りくださればやめて差し上げますけどねえ。」
「何かくれるの?」 「そうだなあ。 拳骨一発。」
「いたーーーーーーーい。 女の子に何するのよーーーーーーーー?」 「お前だって俺のこと言えないだろう?」
「何かしたかなあ?」 「ノーパンで遊びに来たり上に乗ってみたりかなり危険だと思われますが、、、。」
「いいんだもん。 私って弘明君が大好きなんだもん。」 「また始まった。 これやり出すと永遠に終わらないんだよなあ。」
「終わらせてやるわよ。」 「へえ、どうやって終わらせるの?」
「へえ。 どうやって?」 「だってお前の作戦は最中さえ食えればいいんだろう?」
「う、うん。 ってあのねえ。」 「引っかかった。 やっぱりお前は馬鹿だ。」
「また馬鹿にした。 許さないんだからーーーーーーーー‼」 「おっと待て。 学校より狭いんだからな。」
言ってはみたけど香澄は廊下に飛び出して壁に激突していた。 「言わんこっちゃねえなあ。 馬鹿。」
香澄を引き寄せてみる。 振り向いた香澄が俺に飛び込んできた。
「痛いんだから可愛がってよね。」 「無茶苦茶な注文ですなあ。 お嬢様。」
「だからお嬢様は、、、。」 その顔を引き寄せてみる。
「ベロベロバー‼」 「ブブブ、、、。」
頬っぺたを膨らませた香澄がいきなり吹き出した。 「きたねえなあ、唾飛ばすなよ。 馬鹿。」
「また馬鹿にした。」 「許さないんだからーーーーー。」
「私のセリフを取らないでよ。」 「ごめんごめん。 貧乏役者なもんで。」
「あの、それは、、、。」 香澄が黙り込んだのを見て俺は部屋に戻った。
「ああもう。 置いていかないでよーーーーーー‼」







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