~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
「あなたはこないだもジェミー様グッズをいただいてたじゃない! 欲張るのはおよしになって!」
「なによっ!」

 聞いちゃいない。まるでバーゲンや福袋にたかる客のように、淑女の誇りもかなぐり捨てて争奪戦が勃発(ぼっぱつ)中。いつの世も女性の魂に刻まれたカワイイに対する欲望は尽きない。 

 団子になり始めたクラスメイトたちを置いて、そそくさとジェミーは教室の壁伝いに外に出た。

「ルゼ様、なにかご用事でも?」

 そして、廊下を歩くジェミーの後ろをしれっとついてきたルゼに話しかける。

「いえ。ただ、調査結果が出るまでの間に君が誰かに殺されるのを、見過ごすわけにはいかないのでね。なるべく話しかけないでもらいたい」

 朝からちらほら姿を見かけるなと思ったら、どうやら彼は見張り役を買って出た様子。だが、いくら目立ちにくい風貌だとしても、彼のようなイケメンに始終つきまとわれると、ジェミーとしてはどうも落ち着かない。
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