~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
「ここは僕の顔を立てて、彼女のことを許してあげてくれないかな。そして、なるべくなら学友同士、これからよき関係を育んでいってもらいたい」
(話を聞け)

 ジェミーは今、悪役令嬢に転生してエセヒロインに罪をなすりつけられる気分をリアルに味わっている。これは非常に精神衛生上よろしくない。金輪際私に近づいてこないでくれないかなと思いながら、ジェミーはセニアのミスを冷静に指摘した。

「セニア様。不思議なことにそちらの赤くなった頬、私が先ほど差し出した手と反対側でございますわ」
「――!」
「では、私は用事がありますのでご機嫌よう」

 ハッとなって違う方の頬を押さえ、ちょっと間抜けな顔になったヒロインに幻滅しつつ、ジェミーはその場から離脱すべく重たい足を引きずった。

(これからずっと、こんなのが続くのはいやぁよ)
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