~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
キランと目を光らせると、ジェミーは勇気を出して父に訴えかけた。
「父上、申し訳ありません。そのことなのですが、実は私、先日の衝撃でいろいろと貴族としての作法を忘れてしまいましたの。まことに心苦しいのですが、こんな私が第二王子様と婚約を交わすなど、きっといろいろなところでペリエライツ家の醜態を晒してしまいますっ! ですから……なにとぞ今回の婚約はなかったことに」
ハンカチの端で嘘くさくちょちょっと涙を拭う真似をしながら、ジェミーは父に懇願してみた。だが。
「ならん」
それに対しての答えもまた端的な拒絶。
(なんでよ。こうしないと、お家が取り潰されちゃうんだってばー!)
混乱したジェミーの前でガースルは席を立つと、どさりと紙束を出してきた。それはいずれも余計な装飾のない美しい白封筒。どれにも丁寧な筆致で、ジェミーの宛名がしたためられている。なんだかいい薫りまで漂って来るような。
「父上、申し訳ありません。そのことなのですが、実は私、先日の衝撃でいろいろと貴族としての作法を忘れてしまいましたの。まことに心苦しいのですが、こんな私が第二王子様と婚約を交わすなど、きっといろいろなところでペリエライツ家の醜態を晒してしまいますっ! ですから……なにとぞ今回の婚約はなかったことに」
ハンカチの端で嘘くさくちょちょっと涙を拭う真似をしながら、ジェミーは父に懇願してみた。だが。
「ならん」
それに対しての答えもまた端的な拒絶。
(なんでよ。こうしないと、お家が取り潰されちゃうんだってばー!)
混乱したジェミーの前でガースルは席を立つと、どさりと紙束を出してきた。それはいずれも余計な装飾のない美しい白封筒。どれにも丁寧な筆致で、ジェミーの宛名がしたためられている。なんだかいい薫りまで漂って来るような。